『藪原検校』@シアターBRAVA!(14:00〜) 2F-B-26

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作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
ギター演奏:赤崎郁洋
出演:古田新太/田中裕子/段田安則六平直政/梅沢昌代/山本龍二/神保共子/松田洋治景山仁美/壤晴彦

2階席2列目だったけど意外と観易かった。あの舞台装置を楽しむなら上からの方がいいかも。
キャストが豪華というか濃いというか手練れ揃いで、それぞれのお芝居は充分楽しめました。作品自体は、題材から考えてもっとエログロを想像してたんだけど、意外にあっさりで綺麗にまとめられてしまった感じでちょいと拍子抜け。
そして、あの古田さんが主役なのに目立ってなかった(汗)。
なんだろう………心の底からの悪役じゃないからかな。杉の市って手癖も女癖も悪いけど、生い立ちの不幸さから見える哀しさや寂しさをもっていて、かつ妙に愛嬌もあって憎めないキャラ。確かに難しいとは思うものの、古田さんて、どんな役でもたちどころに自分のモノにして演じきって、更にどんどん膨らませていくひとだと思ってたから、今回のインパクトの薄さにちょっとびっくり。もしかしたら“早物語”に気をとられすぎてた?。
ただ、段田さんの塙保己一とのシーンはすごく良くなるのよね。ひっぱられてるという感じはしないから、段田さんとの相性がいいのかな。「茫漠としてとらえどころなし。大鐘のごとし。小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る。」*1ってやつ?。古田さんて小さく叩くタイプだったっけ(笑) 大きく叩いて大きく鳴らせて自分もその共鳴で大きく鳴る感じなんだけど。………あー、その良し悪しは置いとくとして、相手に合わせて芝居するということでは意外と(失礼)かなり繊細なのかもしれない。
段田さんはとにかく安心して観てられる。彼が舞台上にいるとホッとする。
田中裕子の使われ方がもったいない感じ。杉の市との絡みのシーンはさすがなんだけど出番少なすぎ〜〜〜。
あと、壤さんの語りは素晴らしい。舞台の大黒柱。ただ、お疲れだったのか3回くらい噛んでたのに驚き。「壤さんでも噛むんだ!!」くらいな。


最後に舞台装置と音楽。
セットが歌舞伎テイスト満載で楽しかったー。この作品なら8月納涼歌舞伎あたりで歌舞伎座でかけてもいいんでは? 小金吾みたいな場面あるし、黒子さんいるし、筒の畳をぱーっとひいてるし、水色の布の川の上で死体を板に乗せて紐付けてひいたり。極めつけは「縞の財布に五十両」………歌舞伎観てる人間でこれ知らんかったらモグリだぜ(笑/会場は無反応でした)。
「〜〜づくし」な歌はちょっと邪魔*2な気がしたけど、ギターは良かったな。ギターで津軽三味線テイストって凄いわ。


『藪原検校』公式

*1:坂本龍馬西郷隆盛を評した言葉。元は『礼記』(中国漢時代の書物)らしい。旧宅にて耕史君を評するのに一度用いました。

*2:すんません。原作の戯曲にあるんだよね?