NHKBShi 『龍馬伝』#25 “寺田屋の母” 18:00〜18:45

来たぜおなじみ天祥丸。以蔵を楽に、か。この半平太ならそうなるか。
逆に以蔵はどうするんだろう。定説通りにいくのか、それとも……。ただ、この以蔵じゃ半平太を裏切るようなことはできないんだけどねえ。
以前、スルーされるんじゃないかと思った蛤御門の変。意外にきちんとやってくれました。勇将・来島又兵衛角田信朗)の出番短いながらもイメージ通り。ホントは先に発砲したの幕府側なんですけどね。薩摩軍は結構苦戦して西郷なんか撃たれて落馬してるし。又兵衛の死後、一気に形勢逆転なのでした。ただ、同時期に長州じゃ、関門海峡に四カ国艦隊が迫っててえらいことになってんだけど、思いっきりスルーだったのが残念。高杉晋作のこととか後々困らないんだろか。
龍馬(福山雅治)ってばまた大きな声で「桂さん!桂さん!」て。桂小五郎谷原章介)も自分とこの藩旗のそばにいちゃあかんでしょう。乞食コスプレでもそのイケメン*1は隠せないわよ(そこか)。
容堂公(近藤正臣)がなんだかまだ変です。酒飲んでるのがじゃなくてね。大酒飲みなのは事実なんで。赤の薩摩切子の徳利に青の江戸切子のお猪口。暗示的です。
寺田屋お登勢草刈民代)〜お龍(真木よう子)のエピはなかなか面白かった。両者の間でばたばたする龍馬も。ああいう滑稽さって龍馬のひとつの魅力なのでたまに見せてほしいな。この大河だとなにかというとあっつい演説が始まって興ざめなのよ。


竜馬がゆく』では、神戸から京都の火の手が見えて、勝敗を勝と竜馬が確かめに行くのよね。大坂で幕府の人間が役立たずで斥候もままならないから、勝自身が斥候に。

勝自身の文章を借りよう。
「桜宮より数庁をすぎて、淀川上流より一船飄々として来る」
(中略)
「船内に壮士三人あり」と勝は書く。
「長州人ですな」と竜馬は、しずかにいった。
(中略)
「壮士ら、岸より上陸す」(中略)「彼ら、上岸、ただちに一刀をぬき」
と、勝はつづける。長州人たちは、葦の繁みのなかで、きらきらと抜きつれた。
「忽ち、差し違ふ」
あっ、と勝も竜馬も息をつめた。長州人たちは、たがいの胸ぐらをとって、刺しあって折り崩れた。自殺したのである。
残った一人も、立ったまま、喉を刺しつらぬいて死んだ。このすさまじい光景をみて、勝は京都方面での長州軍の敗北を知った。
「余、大いに驚き、身体粟立ち、須臾、歩するあたはず」
情景が意外すぎたのだ、と勝は自分の心理を説明している。
このときの竜馬の行動も異常であった。土堤を駆け降り、葦のあいだに懸けこむや、かれらの一人一人を抱きおこした。
「言い置くことはないか、故郷につたえてやる」
と叫んだが、二人は息が絶えており、一人はかすかに微笑しなにか言おうとした。しかし血が口中にあふれて声にならない。
(中略)
やっと、
「残念だんった」
というと、そのはずみで気管に血が入ったのか、一瞬苦悶し、窒息して死んだ。
(中略)
「むだには死なせぬ」
竜馬は立ちあがった。
「おれは坂本竜馬という者だ。霊あらばおぼえていてくれ、君らの死は、かならず実りあるものにしてやる」
声に出してこそいわなかったが、竜馬は口の中でつぶやいていた。

司馬遼太郎竜馬がゆく』3巻“狂瀾篇”(文藝春秋)より抜粋

*1:中の人もイケメンだが、実際もイケメンだ。