メ〜テレ 『崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話』#9終 21:00〜21:54

えらいことはしょられましたな。ま、わかりやすいサクセスストーリードラマとしてはこんなもんでしょう。
オットは楽しみにしてたサイバラ出演シーンをトイレ行ってて見逃しました。どあほう。あのタイヤ引いて走ってた女ね、西原理恵子大先生です(笑)。
サイバラの人生、実際はドラマの何百倍もドラマチック。鴨ちゃんとの出会いと別れもね。

彼と最初にあったのはタイ・バンコクのくっさい街角。
次にあったのは、アマゾンのジャングルの中。
ジャングルで「じゃあまたねー」といったら、東京の私の家に「ただいま」と言って帰ってきた。
それからずっと、お酒でしかられるたび、じゃあ出かけてきますと、アフリカから中東からアジアから世界中から。
たくさんのおみやげ話を持って、かえってくる。
「あんたはホント帰ってくるねー」
「あーオレは帰ってくるよ。何たってかあちゃんとお家が大好きだもん」
彼は治らないふたつの病気をかかえていた。
ひとつはアルコール依存症。もうひとつはガン。

アルコール依存症はガンと同じ大変な病気で、その治療のためには家族の強い協力と専門の医師の力がいるのに、彼は、私をはじめまわりのすべての人に、なまけ者と言われ続け、たった一人で10年近くこの病気と戦わなければいけませんでした。
今度こそ家に帰るんだ。今度こそ家に帰るんだ。
歯をくいしばる彼に、なまけ者のうそつきだと私は言いつづけました。
でも彼はたった一人でこの病気と戦い続け、立派に帰ってきました。
でもガンもやって来ていました。
それから彼とすごした六ヶ月間はとてもしあわせでした。
おとうさんとおかあさんとこどもたちとおいしいごはん。
わたしたちのはじめての家庭。
たくさん思い出すいろいろなこと。
でもその日はけっこう早くやってきて。

私達は毎日ふざけた話と、仕事の話しかしなかった。
どうしていいかわからなかったから。
ちゃんとしゃべったらのどにつまった小石がぜんぶ出てきそうだったから。
だから病室でさいごの日に
「ありがとう。君にあえてしあわせな人生だった。もう悔いはないよ」
彼は背中をむけて私に言った。私は背中をむけて何にも返事をしなかった。
でもその日はけっこうはやくやってきて、20年間ウソ話ばかり作ってきたのに、私はこの日のために自分の子供にするウソを用意してない。
動かなくなった彼の前で、いつまでたっても泣きやまない私に、子供達が最初にしてくれたことは、私を笑わすことだった。
神さま。私に子供をありがとう。
さいごに
「子供を傷つけずにすんだ。人として死ねる事がうれしい」
と言っていた。

毎日かあさん4/出戻り編』より抜粋。
ちなみにこの本、“『ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE YEAR 2007「泣けた本」第1位”。