NHKBSプレミアム 『平清盛』#22 “勝利の代償” 18:00〜18:45

録画済。


従一位左大臣藤原頼長山本耕史)に合掌。
頼長の代わりに忠実(國村隼)のもとにたどり着き力尽きた鸚鵡君にも合掌。
「哀取もかふる物ならば、忠実が命にかへてまし………もし西海に左遷せられば、鬼界が嶋のはてまでも、舟に棹をもさすべきに、逝て帰らぬ別程、悲しき事はなきぞとよ」
書物に伝わる忠実の言葉。
今宵の大河では「わが子よ」の叫びでその想いがひしひしと。
「私の魂は朝廷にある」
後白河天皇松田翔太)がいる、ではなく信西阿部サダヲ)がいる朝廷に。
その信西が、無策無能の衆人のただ中でひとり叫ぶ。
「あなた方は何のために政をし、如何なる国づくりを目指しておいでか!」
彼の脳裏には、かつて志を同じくした友の姿が、「努めよや」と息子達に諭す頼長が……。
前5行、いつもの如く私の勝手な妄想&解釈でございます(爆)。
えーと、小学生の頃から色々な時代劇を観てまいりましたが、舌噛み切る時、ちゃんと舌出して噛み切るシーンを初めて目にしたような気がいたします。他にあったら是非教えていただきたい*1。口を一文字に結んでぐっと噛んで口の端からたらりと一筋の血、つーのがデフォでしょう。その方が絵的に綺麗ですからね。実際は、今回みたいにあっかんべー状態でやらないと噛み切れないと思うのよ。でもちょいグロ。血もだらだら。局地的にNHK喝采
落涙し、息も絶え絶えに「父上…」と呟き、父の拒絶を知り、「もはやこれまで」と舌を噛み切る。
並大抵の覚悟でできることではありません。ほんの数日前まであった頼長の気概を、ここに再び見たように思います。
わたくし、特に頼長ファンではないので何ですが(汗)、彼は実に何事にも正直だったんだなあと。そして何事も過ぎたるひとだと。愛しすぎ愛されすぎ愛さなすぎ愛されなさすぎ……*2。表面だけを見れば実にハタ迷惑なんだけども(苦笑)、裏を返せばキャラ的に描き甲斐のある面白い人物でしょう?。それだけに、今回のカットされまくり*3のないがしろ摂関家描写は実に残念。耕史君や國村さんの演技が素晴らしいだけにね。あとカット以前の問題も。これについては、以前、こーじ友のひとりが同じことを考えていて嬉しいと思いつつも、“同じこと”の内容が内容なのでねえ。ここじゃ絶対に言えん(爆)。
まあ今更言うてもせんかたなきこと。
山本耕史藤原頼長。耕史君ファンとしてありがたく頂戴いたしました。と、一応締めときましょう。
というのは、怨霊で再登場するかもしれないじゃん(まさか)。
後日追記する、かも。


とか言っときながら一週間経ってしまいました。ただいま6月10日午後1時30分。
皆様よりいただいたコメントへのレスでだいたい語ったような気もしますが、萌え萌え含め簡単にまとめます。
時代劇はファンタジーという耕史君の見解は正しいと思っております。それが大河であっても。1000年前の随筆や日記や軍記物が伝える歴史が全て正ではないし、朝廷による正史だってガチマジヤベえ部分は書かれてないはずです。正史にだって怨霊は出てきます*4。極論ですが、時代劇はいにしえの幻を私たちの思いこみで具現化したようなものです*5。でも、ドラマの中で生きて動いているのは人間。時代によって価値観の隔たりは相当あっても、ひとの想いというのは変わらないと思うんですよね。親兄弟の情愛とか男女の愛情とか友との友情とか人の死とか。そこんとこはリアルでないとね。その点、今年の大河は割とちゃんと描いてくれてる気がします。
よって、頼長の死に際も。
矢のCGのレベルアップに加えて(爆)、ぶっささる側の演技力がマジぶっささったんじゃないかと。舌を噛み切るにしても、微かな舌の震えは、躊躇か舌を出すにも難儀で残る力を振り絞ったためか。そんな想像をしてしまう表現力。その前にはらはらと流した涙。身も心もぼろぼろで、もはや現実を見る力を失ってただのうろと化した眼から落ちる雫のなんと美しいことか。あの美しさはなんでしょうね。最期の命の輝きとかね。ちょっと言葉がみつかりません。
超個性的な藤原頼長。そういう意味では中身的には演者としては演じやすかったのかもしれませんが、外見は平安デフォ。それなりの佇まいと品がなくては。これがまた耕史君がどんぴしゃずっぱまりで最高でした。もう何回も言ってますけども何回言ってもいいじゃん。ホント、カットシーンが悔やまれます。上で「せんかたなきこと」と言ってますけども、これもやっぱ何回も言っとこう。
でも、コメントの言葉を借りれば、少ない出番でも残した印象は色濃く鮮やかで、ミニマムインプットのマキシマムアウトプット。なんと超エコ省エネで時代に即し理にかなってることか(違)。まあその点は置いといて、斜陽の摂関家に生まれ、摂関家の矜持の中に生き、摂関家によって葬られた*6藤原頼長。最高位の貴族の激しい落差。それを見事に演じた耕史君。君のファンで良かったと心の底から思った3ヶ月でございました。
いや今までもそう思ったこと多々多々ありましたよもちろん(笑)。一応締めの言葉としてね。そしてこれからもまたそういう気持ちが続いていけばいいなあと思っております。
相変わらずまとまりませんがこの辺で。あとは余話で。


余話1。今回改めて血が似合う男だと思いました。芳年の血みどろ絵で観たいと思いました。先日の『極上美の饗宴』で手塚真氏が映像化してたしね。『月百姿』シチュエーションでもいいなあ。血みどろではありませんが。そういえば『月百姿』に師長が。“宮路山の月”という題名で琵琶を弾いてる姿が描かれてます。
余話2。今回の死にっぷりの見事さに、切腹シーンを観てみたいと思いました。清水宗治の湖上のやつとか。あれは絵的に綺麗になっちゃいますけど。
余話3。akimiさんのナイミツ事項(爆)ですが、耕史君の美脚同様、舌もなんだかつるっと滑らかで綺麗でした。彼の身体って色々不思議なことが多いわ(笑)。

*1:たぶんあるんでしょうけど、とにかく私は見たことない。

*2:どっかにも書きましたが。

*3:ノベライズ読んでる友情報。

*4:『続日本記』の長屋王とか。

*5:もちろん現在の日本で正とされている教科書で習った日本史をベースにした上でのことです。

*6:摂関家の長老である父の意を汲み取って、ということで。