NHKBSプレミアム 『薄桜記』#1 “密通” 20:00〜20:45

録画済。


何回も書いてますが原作未読。映像は相当うろ覚えで、どうやら杉サマのを観たらしい。以上、私の『薄桜記』歴でございます(爆)。そんなやつが時代劇ファンを名乗る資格があるのかと言われても仕方がありませんな。単に五味氏が私の琴線に触れなかったのよ。『柳生武芸帳』読んだからいいじゃん(苦笑)。
ところでTwitterで大盛り上がりの薄桜記&薄桜鬼。うん、世代によっては『記』を知らなくて当然だよね。そういう意味では知らないことは問題ではないのです。知らなかったらその先へ進む……つまり知ろうとする気持ちが大事なのです。「知らないもんは知らない」、「別に知らなくてもいいじゃん」で、止まってしまうことが残念ですね。今は、目の前の箱で何でもさくさくと調べられる便利な時代じゃないですか。私らの若い頃は、とにもかくにも紙をめくりまくるか人に聞くかで、それに費やす時間といったら、秒単位で知りたいことがわかる現代からは信じられないことだけど、日単位、下手すりゃ週単位でしたからね。目の前の箱は功罪相半ばして、最近はとみに罪が目立ってるものの、使い方を間違えなければこれほど功をもたらすものはないと思うので、『鬼』ファンの若い方々にはゲーム以外でも巧く活用していただけたらなと、おばちゃんは考えるのであります。
で、肝心の本編。
冒頭のほうで、実に清水的演出がございました。『組!』や磐音シリーズを観てきた方々には十分おわかりでしょう。今回はまだ軽傷かな。以降も、軽傷であることを望みます。てか、普通にやってくれ普通に(爆)。
あとは脚本に助けられたのか、割と落ち着いてて良かったのでは?。
安兵衛の高橋が好演です。彼の時代劇は風林と数本のゲスト出演で観てるけど、現代ドラマより時代劇が合ってると思います。安兵衛って馬庭念流だったり一刀流だったり直心影流だったりの諸説あり*1。そもそも堀内正春自身、念流なのか一刀流なのか直心影流なのかようわからんので*2どれでもよーい(藤原通憲オマージュ)。
今回の堀内道場は一刀流なのね。一刀流には有名な神子上典膳という人物がいるけど、丹下典膳の名前そっから?。てっきり丹下左膳と倉田典膳のミックスだと思ってたんだけども……。

どっかの時代劇ファンを称する高校生のつぶやきで、展開が遅くてたるくて見てられないというのがありまして。45分で、夜桜見物での出会い→祝言→大坂単身赴任→手込め、合間に安兵衛との出会い、他の登場人物の顔見せ。どこがたるいんじゃどあほう。展開がたるいんじゃなくて、時代劇でしか成り立たない、独特の“間”というものをちゃんと出してんだよ。セリフも現代的テンポではないし、古風な言い回し。それがたるいというなら時代劇観るな。いったいどんな時代劇観てきやがったクソガキ。こういうヤツが「薄桜鬼のパクリ」とか言いやがるんだろうなあと思った次第。上で冷静に書いたけど、なんかこういうヤツらに何言ってもわかんねえだろという気になってきた(爆)。

「せめてお名前を」
「名乗るほどのことも無かろう」
原点回帰の様式美。
ジェームス三木は、どちらかというと、ケレン味のある雰囲気の方が得意なのではと思うけど、『吉宗』で吉宗・家重親子の哀しみを見事に描いた手腕に期待したいと思います。だからよけいなこと考えるな清水。うあ、そういえば清水ってば『吉宗』の演出もやってたわああ(汗)。

久々の耕史君の月代若侍。よりりんの面影皆無。嘘みたいに爽やかです。
殺陣も腰が落ち着いて、かなり良くなったのでは?。正直、上手い下手の前に磐音の殺陣は受け入れられなかったのですよ。殺陣の様式として。磐音の受け身の剣という設定が殺陣として成り立ちにくいのはわかるんだけども。耕史君は、殺陣を必要とする時代劇の場合、そのスタイルの良さが仇になります。脚が長すぎ腰の位置が高すぎて、どうも不安定な印象を受けがち。それを思うと、今回の道場でのシーンでは成長が見てとれました(えらそう)。片手の殺陣に期待したいと思います。
ちなみに市川雷蔵というひとは、周りのお歴々に比べれば殺陣はたいして巧くないのです。あの独特の佇まいと、演技力でそれを補いました(と思う)。そしてカメラワークに随分助けられました。最近、殺陣をちゃんと撮れるカメラマン及び演出家が減ってるように思われます。もう何度も言ってますけど、殺陣はカメラワークでなんとでもなる、と言っても過言ではありません。そこんとこよろしく。

*1:みんな習ったてことでいいんじゃないかと思う。

*2:日置昌一『日本系譜綜覧』には“堀内流”として正春と安兵衛の名前しかないのよね。