劇団☆新感線・SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK〜五右衛門ロックⅢ』@オリックス劇場(13:00〜) 1F-9-45・46

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作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太三浦春馬蒼井優/浦井建治/高橋由美子橋本じゅん粟根まこと/高田聖子/村井國夫/麿赤兒/右近健一/河野まさと/逆木圭一郎/村木よし子/インディ高橋/山本カナコ/礒野慎吾/吉田メタル/中谷さとみ/保坂エマ/村木 仁/川原正嗣/冠徹弥/教祖イコマノリユキ/他/and天海祐希(映像出演)

「是非も無し」*1
これを明智光秀の遺児・心九郎(三浦春馬)に言わせるとはね。恐れ入るばかりの中島脚本。
不老不死の薬を飲まない太閤秀吉(麿赤兒)。
「自分が死んだら遊びは終わりだ」と秀吉に言われた石田治部少輔三成(粟根まこと)。
希代の傾奇者でありながら船に乗らなかった前田慶次郎橋本じゅん)。
彼らのその後を私たちは知っている。
侍を、光秀の子であることを捨てた心九郎。
伝説の中にいる石川五右衛門古田新太)。
彼らのその後は誰にもわからない。船に乗って七つの海へ漕ぎ出したって無問題。だから帰ってきても無問題(笑)。
これで完結っぽいんだけど、帰ってきてくれないかなあ。
てなわけでシリーズ3本目の五右衛門ロック。期待通り楽しかったあああ。私はやっぱりタテノリの人間だということを自覚いたしました。ギターがガガガガガガガガぎゅいんぎゅいんぎゅいんぎゅいん。足元からケツにびんびん伝わる唸るベース。それに応えて空気を揺らしまくるバスドラ。そして冠君のハイトーンシャウト。これで座って手拍子だけしてろっていったい何の拷問。いや音モノはみんなそうなんだけど(苦笑)。ヘドバン禁止のヘビメタライブ、ひとり椅子の上で身体揺らしまくって小さく手振ってたら、オットから「貧乏ゆすりみたいやからやめてくれ」と言われました。右隣りの方もうっとおしかったでしょうね。すんません。でも右隣の方手拍子合ってなかったわよ。あと前列4人の春馬君ファンも合ってなかったわよ。SUPER ハンサム LIVEでもそんな感じなのかしら。あら毒吐いちゃったわ、すんません再び。
そう、春馬君よ春馬君。期待通り、いや期待以上。旬君と小出君と勝地君に「三浦春馬は全部持ってる」と言わしめた*2春馬君。心九郎のアオリ文句が「謎を解くのは大得意 容姿、実力、揃い踏み 歌も踊りもオールオッケー 秘めたる野心はキラリ爽やか、笑顔で塗す 沈着冷静生意気盛りの探偵方」ってもうまんまでもうもうもう。何かというと“キラリーン”の効果音と共にかます前髪払いとキメ顔のコメディと、光秀の遺児というドラマを背負ったシリアスと、ちゃんと新感線のセオリーにもハマっててもうもうもう。メタル的シャウトもイケるしダンスも殺陣も身体キレキレでもうもうもう。しかし殺陣にはうるさいオットが「殺陣のキレはいいけど流れが切れとる」と。誰がそんなうまいこと言えと。ええいとにかくうるさいわ。川原さんとの一対一も頑張ってたもん。殺陣の途中で、二、三人踏み台にしてたたっと駆け上がって最後の直立の誰かの頭のてっぺんからぽーんと飛び降りて軽やかに着地してたもん。ああ、衣裳も良かったわ。探偵方の群青系の長めの陣羽織風+白小袖+陣羽織と同色の小袴(?)+黒のブーツ。ダークサイド時の緑の狩衣の前下部分がなくって後ろが陣羽織風になってるヤツ。捕縛された時の陣羽織のない、小袖小袴ブーツだけのヤツ。どれもこれも素敵。小峯さんブラボー。あの長い陣羽織が翻りフェチにはたまりません。ダンスで殺陣で動く度にくるくるくるくるばっさばっさ。髪型も良いよね。前髪横流しの長め総髪。ビジュアル面の文字が多くなってしまいましたが、重要な演技については全くもって無問題。前述したように、新感線の舞台の大事なとこをちゃんとわかってますよ春馬君は。次回は是非いのうえ歌舞伎へ!!!。いやおポンチでも構いませんけど(笑)。
春馬君と同じくキラキラ若手ゲストの蒼井優。彼女の舞台は『オセロー』しか観てないからえらそうなこと言えないけど、やっぱ全体的なコンパクトさが舞台向きではないのかなあ。ヘタという意味ではないのよ。嫌いな女優でもないし。対春馬君と見てしまうとどうしてもね。
再登場シャルルは、いや浦井君じゃなくてシャルル(笑)。実は浦井君あんまり好きじゃなくて、薔薇サムシャルルで好きになりました。ええこういう役ができると思ってなかったもので平身低頭。今回も素晴らしい。アホみたいに明るいキャラを、シリアスなシーンでもそのまんま崩さず、それがかえって癒しになるような佇まいで保てるなんてなかなかできませんて。ああ、そういや、じゅんさんとせりで下がってくシーンで頭ごんっって打ったような音してましたけど大丈夫だったのかな。てか元々の仕込み?。
準レギュ高橋由美子は抜群の安定感。八百比丘尼みたいな役ですけど、実際年齢不詳な彼女の雰囲気には合ってたと思います。
大大大ベテランお二人は出てきただけでおなかいっぱい。村井さんの重低音の歌声は相変わらず凄いなあ。歌だけ上手いミュー俳優(爆)とは一線を画しております。麿さんの舞台は初めて。今作の晩年の秀吉はパラノイア的なところは全く見られず、肚の大きい、女遊びも戦も同じと言い切る、これぞ天下人という造形。それにぴったりでした。二幕後半なんか独壇場だもんね。「大悪党め!」にしびれましたよ。
団員じゅんさんじゅんさんじゅんさーーん。ビジュアルまるっと『花の慶次』やん。轟天にも見えるけど、今回は前田慶次郎だしね。いつも思うけどなんでこんなに劇画調な拵えが似合うのか。そしてカッコイイ。決して素は二枚目じゃないのに(大失礼)こんなメイクなのにカッコイイ。オット曰く「これは春馬にはできん芸当やで」。まあそうですけど芸風違うし(笑)。三成の粟根さんとの最後のシーンはじわっときました。冒頭にも書いたようにその先を知ってますから……。
そして、聖子さんは新感線の宝ですよ。新感線そのもですよ。いやそれは古田さんもじゅんさんも粟根さんもなんだけど、新感線色が一番濃いつーか、貪欲にニッチニッチニッチを狙ってかますとこは誰にも真似できないと思う。最近の若手芸人は見習えや、とも思う(爆)。
オーラス古田新太。このひともホントになんで五右衛門の大百日のデフォルメ限界な髪型が似合うのか。ここまでくると本職でも似合わんぞ(笑)。屋号つけたらどうよ。ええ、文句なく一番カッコよかったのは古田さんです。登場の宙乗りからもう「待ってましたっ!」って大向うの声掛けたかったよ。お約束の展開にも、わかってるわかってるわかってるんだよそうくるってことは、って思ってても、その通りの展開でも、やっぱわーーーっって喜んじゃうんだよねえ。あっぱれ、日本一の千両役者。でも最後の最後でプチ台詞噛みがあったわ(笑)。ま、あれくらいご愛嬌。
ストーリーはいつものようにわかりやすくてお約束もたっぷりで過去キャラもぶち込んでお家芸満載でなんの文句もなく。あまみんの映像出演は嬉しかったです。
もいっかい観たいくらいだけど、日程的に無理ですねー。今週末は予定入ってるし、月末は耕史君だし。ここには書いてないけど、引越後もなにかと家の用事で超多忙なのです。


http://www.goemon3.com/zipangpunk.html

*1:「是非に及ばず」の方が有名かも。

*2:古田さん談。