『ロックオペラ モーツァルト』インディゴバージョン@梅田芸術劇場メインホール(17:00〜)

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演出:フィリップ・マッキンリー/上演台本:吉川徹
音楽監督前嶋康明/振付&ダンスプレイスメント:TETSUHARU/美術:松井るみ/照明:高見和義/音響:山本浩一/衣裳:有村淳(宝塚歌劇団)/ヘアメイク:宮内宏明
出演:山本耕史モーツァルト)/中川晃教サリエリ)/秋元才加鶴見辰吾キムラ緑子高橋ジョージ菊地美香/AKANE LIV/酒井敏也/コング桑田/湯澤幸一郎/北村岳子/北原瑠美/上山竜司栗山絵美平田小百合/高橋竜太/大野幸人/他

耕史君のサリエリは、アッキーの抑えに抑えた苦悩を内に置いてストーリーテラーに徹し、最後に解放される感じのサリエリ*1と違って、非常にひとがましい愛憎の見え隠れする造形だったように感じました。“アマデウス”であるモーツァルトに対しひとでしかない自分。でもモーツァルトの肉体は神ではないから必ず滅びる。でも彼の芸術は永遠の命を持つ。美しい冷笑と優雅な鷹揚に秘めたその葛藤にぞくぞくしました。近づいてはならないのに近づいてしまう、見たくないのに見てしまう、聴きたくないのに聴いてしまう。叶わぬ片恋ですよ。世界は片思いでできている*2。片恋は美しくもあり残酷でもあり……。その思いが罪と言わんばかりのサリエリを耕史君は魅せてくれたと思います。
罪な男は美しいやね。てかヅカに行け(笑)。友が黒髪のフェルゼンと言うてた。うん、アンドレじゃないよな。〔闇が広がる〕歌ってほしいなー。東宝とヅカ両バージョンね。あと『ファントム』やろうよ。翻りフェチには堪らんかったよ今回。翻りモノは背がないとやっぱ映えないわ。2週間前に春馬君の陣羽織翻りにときめきまくりましたが、完全に上書きされました*3。手長脚長美白美肌で化粧映えのする美人で超絶コスプレイヤー(演劇においてのね)という耕史君のビジュアル全てを武器にするとこうなるわけですね。衣裳&ヘアメイクの方に最敬礼。私的なメイク男子LOVEの変遷はジュリー、本田泰章、中川勝彦*4で同世代の女子なら誰もが通る道だと思うのですが、え?通らない?。まあいいや。耕史サリエリはマイベストメイク男子。前々から実に化粧映えの良い男だとは思ってましたよ。でも智美ちゃんは女装だし、ヘドはドラァグクイーンだし、雅は人間じゃないしね。純然たる男として施された舞台化粧でこれほど美しいモノは見たことがありませんて。そしてチラリズムのチの字もないのにセクシー。指先から没薬の香りがこぼれてきそうな雰囲気です。あと声だね。セクシー効果倍増の魅惑の低音、中〜高音のハスキーボイス。近頃とみに低音がよく出て通るようになって嬉しい限り。高音が少々出てなくったって、それを補って余りあり過ぎる演技力と歌い方*5とビジュアルがあれば、今回は構やしないのよ。四季でも東宝ミューでもクラシックオペラでもないんだから。
耕史サリエリってコキュなんだよね。こんなに美しいのにね。神が相手では敵うわけもなく。自らの焦燥が求めるものの寿命を縮めてしまった罪びとを神は許しません。アッキーのサリエリにその愚かさは見えませんでした。天真爛漫なアッキーモーツァルトと対照的に、耕史モーツァルトは天賦の才と自分の想いと周囲の声とのバランスの悪さに懸命に耐えてる印象。アッキーサリエリはそんなモーツァルトの脆さを感じ、静かに彼の滅びを待ってるように思いました。
観る前はルージュが容易に想像できて、公式動画観てもやっぱルージュかなと思ってたのに、実際観たらインディゴも充分アリでした。前記事冒頭に書いたけど、素晴らしい相互作用ですよ。対峙して投げて受けて補って増幅する二人の力に拍手。
で、充分アリと思った耕史モーツァルト。ジャニに行け(笑)。ペンライト振っていいですか。セクシークールビューティなサリエリと違ってエロキレカワです。セクシーじゃなくてコケティッシュな感じ。上品でつややかなグリッターラメを纏ったようにきらきらきらきらきらきらきらきら。ホンマに36歳か(爆)。こっちの衣裳の方が身体のラインが出るから更に手長脚長強調な上に、首〜デコルテ〜胸の露出があって涎もんです。耕史君の一番の美肌ポイントはデコルテなのですよ。男性の骨っぽさゼロの白くて艶めかしくてデコルテ用のルースパウダー塗ってる女性より綺麗なデコルテ。ああ悔しいったら。そして胸きらめかせて歌い踊る回る歌い踊る回る回る。アンサンブル従えて華麗なステップが踏まれる度にフューシャピンクの薔薇が舞うようでした。友はレッツゴーヤングみたいと言ってました(笑)。わかるひとにはわかる。赤じゃないんだよね濃いピンクな感じ。サリエリ月下美人サリエリも踊るけど大人数をバックにという点でインディゴに軍配。歌は赤も青も甲乙つけがたいなあ。青の超高音部は確かにきつそうだ。でもかすれたりちょいファルセットになったりする分、色気も増して気持ちがより伝わって相殺じゃ。なんか文句あるか。あと、1回のキスがアッキーより確実に長いぞ。進行に支障はないのか?(笑)。マジで脚長と思ったのは八百屋舞台の上で脚を組み替えるとこ。これみよがしにエレガントに組むんだよねえ。指揮がスロモになるのも好き。耕史君のゆっくりした動きってホントに綺麗。時代劇の所作も美しいし、西洋的な手を広げたりお辞儀をしたり跪いたり女性を抱き寄せたりする動作も美しい。いったいあんた何人。コンスタンツェの腰に手を添えて回りながらキスする一連の動作が異常に滑らかなのは、慣れてるからだと思ったのは私だけですか?。結婚式も良かったね。アンサンブルに囲まれてお着替え&メイクのシーンは天使の笑顔。青は下手7列目で奇跡的に見えたのです。てかあの裾レースひらひらは何。似合いすぎる。友によればヅカ男役トップスターの定番なんだそうな。有村先生(もう先生と呼ばせていただく)ありがとうございますありがとうございます。結婚式シーンが超短かったのが悔やまれます。
そして、きらきらラメが薄くなって紗がかかったようになり、やがて透けて無くなってしまうかのような耕史モーツァルト。最期が近づいてベッドに横たわってる時に、マジでだんだん透明感を増してくようにみえました。照明で肌の色が白く変わるとかいうんじゃないのよ。天に召されるのによけいなものは要らない魂だけでいいと言わんばかりに器が空っぽになってく感じ。天国への階段を昇って見上げて目を閉じて手を広げるジーザスモーツァルト。美しいシーンなのに、神に愛され音楽の神になってもその称賛を知ることはない虚しさを覚えてしまいました。
『M!』でもなく『アマデウス』でもなく『毎日モーツァルト』でもない、『ロックオペラモーツァルト』のモーツァルト。赤と青と全然違うふたりのモーツァルトを楽しめたと思います。もちろんサリエリも同様。惜しむらくは耕史君とアッキーのデュエットが1曲しかなかったこと。声の相性悪くないからもっともっとふたり一緒で聴きたかった。色々妄想爆走してます。ミュー版『フル・モンティ』の〔You Walk With Me〕とか『巴里のアメリカ人』の〔'S Wonderful〕とか。ああそうだ、耕史君トートでアッキールドルフで〔闇が広がる〕やればいいんじゃん。
カテコでアッキーが仕掛けた〔薔薇の香りに包まれて〕のアカペラ。ハモる耕史君。大千秋楽の素敵なプレゼントでした。
カテコと言えばアッキー自由すぎる(笑)。にっこにっこでカワユスー。それをあたたかく見守りつつもいつもの調子でクールに締める耕史君がツボです。挨拶の声がもうかすかすだったねー。お疲れ!。でも〔夢を支配する者〕の時バク転したもんだから、体力はあり余ってるやんと思ってしまったわ(爆)。耕史君のマチネカテコの発言に、それ言うかここで?(苦笑)と思ったり、ソワレ劇中の自分発信のハプニングの切り替えしに流石と思ったり、その他諸々ありましたけど、まあ皆さん既知のことですので割愛。
たった2回しか観てないのに嬉しいいただきものが多くて頭沸いてます。超耳福眼福。珍しく記事の下書きしたんだけど削りに削ってこの長さに纏めました。いや、内容的には纏まってないやね。もー収拾つかんて。あー返す返すもDVD出ないのが残念。CD発売まで首を長くして待ちたいと思います。
ここまで駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

*1:もちろん歌は素晴らしい歌唱力で聴かせてくれるんだけど。

*2:by百合子さん@はらちゃん。

*3:ちなみに春馬君178cm。そして22歳。え、耕史君より一回り以上若いのか。

*4:美輪先生とデヴィッド・ボウイ人智を超えた別次元なので省く。

*5:歌詞の聞き取りやすさとか、言葉を伝えようとする気持ちとかね。