御名残御園座 二代目市川猿翁・四代目市川猿之助・六代目市川中車襲名披露『三月大歌舞伎』夜の部@御園座(16:00〜)

春調娘七種
曽我五郎:右近/静御前春猿/曽我十郎:笑三郎
笑三郎さんが珍しい立役。こんな優美で優雅な曽我十郎初めて観たわ。春猿さんも華やかでようございました。ホンっとに澤瀉屋女形の皆さんは目の保養。


ぢいさんばあさん
美濃部伊織:中車/妻るん:笑也/宮重久右衛門:猿弥/戸谷主税:薪車/石井民之進:弘太郎/宮重久弥:月乃助/下嶋甚右衛門:右近/他
映像で仁左玉のを観ましたが、澤瀉屋はより切なくて優しくてしんみりしていたように思います。そして可愛らしい(爆)。じじばばになって腰も曲がって小さくなった感がなんともいえない味わいに。中車が小柄なこともあるかもしれませんが、それだけじゃないでしょう。中車は若い時より37年後の方が格段に良かった。笑也さんはどっちも絶品。笑也さんを初めて観たオットが「こんないい女形がおったんか」と感動しておりました。
右近ちゃんの敵役も巧い。下嶋は、弾みとはいえ斬られて当然な思いっきり厭なヤツでないとダメなんだけど、出番短いのに思いっきり厭なヤツだった(苦笑)。2週間前の昼の部の時、疲れか風邪か声があまり出てなかったんだよね。この夜の部は無問題。
月之助さん、爽やか過ぎる(笑)。絵に描いたような好青年な上にいつもの美声。それがいつものように凛々しいというより、少年のような若々しい声で萌え萌え。


口上
猿之助改め猿翁(休演)/亀治郎改め猿之助/中車/幹部俳優出演
澤瀉屋のお弟子さん方の御挨拶が分相応に控えめで短いもんだから、その分秀太郎さんが喋る喋る喋る喋る。長い長い長い長い(笑)。いつものように立て板に水のごとくで滑らかで大声じゃなく、でもよく聞こえる優しい口調だから長くても押しつけがましくないんですけどね。懐から、名古屋三越で開催中の『猿之助への軌跡展』のチラシを取り出して宣伝までなさってました。歌舞伎界重鎮が宣伝部長(笑)。83歳の寿猿さんの口上がちょっと心配だったけど、なんとか切り抜けられてホッと(苦笑)。猿之助はもちろん、中車の並々ならぬ覚悟をこの口上でひしひしと感じました。なんだかあったかくてとても良い口上だったと思います。


三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜 川連法眼館の場 市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候
佐藤忠信・忠信実は源九郎狐:亀治郎改め猿之助駿河次郎:門之助/亀井六郎:右近/飛鳥:竹三郎/川連法眼:段四郎静御前秀太郎源義経藤十郎/他
秀太郎さんはこの“四の切”の静御前は初役だそうで(驚)。そんなこともあるんですねえ。優しげながら色気もあり凛とした部分も見せる、義経の愛妾。絶品でございました。藤十郎さんは口上の時にも思ったんですけど、お声の調子がちょっと悪そうでした。いつも肌も声も艶々とお元気なので意外。ご自愛いただきたい。まあそれでも立ってるだけで流石の存在感。
私が言うのもおこがましい限りだけど、亀ちゃん…もとい猿之助は上手くなったなあ。台詞回しも踊りも前に観た時と格段の差です。早変わりは何か信条でもあるのか異常に早い。床下に入って子狐の衣裳で飛び出して来るのに2秒あったかどうか(爆)。最後の宙乗りが弾む弾む。館から見送る義経静御前を何度も振り返りながら、子狐のあふれんばかりの喜びを身体いっぱいで表してました。可愛いったら。天に上りきる直前で恒例の花吹雪。猿之助へ客席へ花道へと舞い散る桜の花びらは、澤瀉屋の新しい門出を祝うライスシャワーのよう。


福山雅治デザインの祝い幕。
こんな粋で素敵な祝い幕観たことありません。澤瀉屋らしい“ケレン”です。