CBCテレビ 『夜のせんせい』#7 22:00〜22:54

録画済。


玲(山本舞香)にこの本を読ませてあげたい。あなたは間違ってない。父親(三宅弘城)を捨てたんじゃない。素人では治せない病気だから入院させただけ。

アルコール依存症は、自分の意志では飲酒をコントロールできなくなる病気です。つまり、本人はやめたい、飲みたくないと思っているのに、やめられなくなるところが怖いんです。
いちばんわかりやすいたとえは、お酒を飲んでいる人が、ある日その人にだけ、お酒が覚せい剤になってしまう病気なんです、多くの人にとっては単なるお酒が、覚せい剤くらい強い依存を引き起こしてしまうという人が世の中にはいます。不幸にして覚せい剤中毒になってしまった人に、根性がないとか、なんでがまんできないのかなんて、そういう理屈は通用しない、ということをわかってほしいのです。
(中略)
彼のお酒は、一言でいえば、いびり酒というか、ただもう、相手をがんじがらめにする酒でした。暴言をはいたり、ものを投げたり、それが何時間でも、ねちねちねちねちと続いて…。そんなふうに、家族に対しては、なじったり暴れたりするというのに、外に出たときには、ちゃんと礼儀正しくするんです。外ではお酒を飲もうが飲むまいが関係なくて、仕事先でも、ペコペコと愛想よくできますし、バーに繰り出せば、グラスを傾けて、相変わらずホステスさんにも洒落た話なんかをして、周囲を笑わせていました。こんな調子で、理性的でいい顔をするものだから、お酒のしわざというよりも、彼の性格に裏表があるのかと疑っていました。家では人が変わって、こんなふうになるんだと他人に話したところで、だれも信じてくれない。わたしのほうが悪口を言っていることになってしまう。
(中略)
この病気は、つまりは家族が割に合わない病気なんです。だれかに相談するにしても、家族の悪口を第三者に話すことになってしまう。家の中のことだから、だれに助けを求めていいかわからない。家族の悪口を言って、一体それが何になるんだろうってことですよね。
この病気でつらい思いをされた方から、手紙などが届くと、「今でも親を殺してやりたいと思っています」とか、「もう親は亡くなりましたが、墓をほじくり返してでも殺したいほど憎い」とか、「娘に漫画を見せられて、夫が病気であることは理解できましたが、それでもわたしは夫を許すことができません」など、怒りや憎しみの内容がすごく多いんです。
とくに、お父さんやお母さんがアルコール依存症で、小さいときからひどい目にあってきた人たちの傷つき具合は、とても身につまされます。子どもが傷ついたまま大人になり、家族に対する憎しみから解放されないことほど、つらいことはないです。だからわたしは、「それは病気だったんだ、そういうお父さんやお母さんではなかったんだよ」ということを伝えてあげたいんです。
(中略)
アルコール依存症は、精神科の扱いなんです。風邪をひけば内科、妊娠すれば産婦人科と、それぞれ専門の窓口があるように、アルコール依存症も専門医でないかぎり、的確なアドバイスは期待できません。鴨ちゃんだって、それまでに医療機関のお世話になってきてはいましたが、内科や外科にかかっているうちは、はっきり言って、お酒の問題は解決しませんでした。多くの医者はアルコール依存症について、よく知らないと思っていても間違いないでしょう。
やっとの思いで医者を訪れても、「なんで飲むのかねぇ」とか、「奥さん、しっかり見張っていなさい」とか、的はずれもはなはだしいのは「ちょっとぐらいなら飲んでもいいでしょう」なんて言われて、家族はそのことばだけで打ちのめされ、よけいに疲れちゃうものなんです。

そして鴨ちゃんアルコール依存症を克服して家族のもとへ帰ってきた。玲のお父さんは肝臓をやられててそちらの方は治らないかもしれないけど、せめてアルコール依存症を治して穏やかに、玲が小さかった頃のお父さんに戻ってほしい。
「世の中には、普通のやつが普通にできることを、どうしてもできないやつがいる。たぶんそんな人間だったんだろう…俺の親は」
「子供を捨てられる親もいる。だけどその逆はない。子供は、親を捨てられない。………たとえどんな親でもな」by大澤(山本耕史
親に捨てられた子供たちが、自分で親を選ぶ。物言いがついた『明日、ママがいない』では、捨てられた子供にはその権利があると魔王(三上博史)は言う。理想的だけど現実は、厳しい。
「今、お父さんのためにいろんなこと犠牲にしたら、何年後か、きっとあんたはお父さんを恨むようになる。それでもいいの?」
桜先生(観月ありさ)の言葉は、的確。でも説教じゃない。問いかけるように生徒の気持ちを大切にしてくれる。
ひょんなことから外内さん(笹野高史)の正体判明。超大手のスーパーの元会長。ごっつい商売人でした。会社のためになんでもやってきたために、家族に見捨てられたとのこと。
父親を見捨てられない子供を、家族に捨てられた父親とクラスメート達が助ける。玲を中心に見事な群像劇。秀逸な回だったと思います。クラスメート達の絡み方がいいよね。キャラが立っててそれぞれに合った役割をこなしていて。群像劇ってともすると、あっちを立てればこっちが立たずで、ぐだぐだになることが多いのに、このドラマはそのバランスが素晴らしい。“視聴率が低い=面白くない&出来が悪い”なんてくそっくらえ。
真理さん(堀内敬子)の失恋スイーツが、玲のお父さんとの思い出のドーナツに繋がるとは(拍手)。
ラストに吃驚なカミングアウト。高倉さん(織本順吉)が優奈(滝裕可里)のお祖父ちゃん!。そら梶原(大倉孝二)も吹くわ(笑)。


余話1。真理さんお見合いで毎回変わる花瓶のお花。あれ仙波さん(大杉漣)が活けてるんだよね。素晴らしい心遣いだわ。しかし副校長(光石研)、あんたがオッケーしてどないすんねん。
余話2。出刃包丁を振り回す男に、なんの躊躇いもなく向かってく大澤。斬られてもさっさと押さえこみ。そういうひとなんだなあと。しかし、矢が刺さったり、包丁で斬られたり、その瞬間の動きがホントに巧いよね耕史君。あと、斬られてから、ちょい下がって「ち」みたいな感じな口の端に、大澤の余裕が見えたように思います。これも良かったなあ。