『メンフィス』@赤坂ACTシアター(13:00〜) 2F-C-26

f:id:moonblue:20220206035551p:plain
脚本・作詞:ジョー・ディピエトロ/音楽・作詞:デヴィッド・ブライアン
翻訳・訳詞:吉川徹/演出:エドイスカンダル/演出・振付:ジェフリー・ページ/音楽監督前嶋康明
出演:山本耕史濱田めぐみ/ジェロ/JAY’ED/吉原光夫/原康義根岸季衣/石井雅登/大塚俊/さけもとあきら/高橋卓爾/遠山大輔/遠山裕介/原慎一郎/水野栄治/秋山エリサ飯野めぐみ/今枝珠美/小島亜莉沙/増田朱紀/森加織

観てる間にふと思い出したことが。中3の時、放送委員やってて昼の給食の時に校内放送でレコードかけてたのね。田舎で30年以上前のことだから、クラシックと日本のフォークソングくらいしか許可されてなくて、日本のロックはもちろん洋楽は一切禁止されてて。既にツェッペリンにハマってた私はそんな状況をクソッタレと思ってて、ある日、バラードだからこれくらいならいいんじゃね?と永ちゃんの『YES MY LOVE』を流したのでした。かけてすぐ先生が放送室へすっ飛んできて頭はたかれて*1職員室へソッコー連行。自慢じゃないけど、当時の私の表の顔(爆)は超優等生で、そこが大問題だったらしく、先生方は他の生徒への影響を大いに嘆いていたようです。まあ初犯だったからか本人厳重注意で親は呼び出されませんでした。
以上、私のプチ・ヒューイ体験。もちろん私にはヒューイ(山本耕史)のような純粋さと情熱なんぞなく、単なる思春期の一時的なレジスタンスに終わったわけで……。
扉を開ける者は、何かを捨て、傷つき哀しみ、誰かが扉を開けてくれるのを待ってた者は、開けた者の苦しみを知ることなく、やがて次の扉が開くのを待つ。いつの時代も変わらない。変わらないのは差別も同じ。人間は無意識のうちに自分と同じ人種を好ましく感じ、違う人種に拒否反応を示す傾向にあることが社会心理学の実験でわかってるんだそうです。太古の昔から、自分達の集団を守るために、異なる集団を排除することが生き残る条件だったことを考えれば、無意識下の人種差別感情は遺伝的に残っていく。ハンディキャッパーに対して抱く不快な感情も、正常な遺伝子を残すことがやはり生存の条件だったため。人の無意識は長い進化の中で連綿と続く。人種の違いや差別による無意味な争いがなくならないのはこの進化の歴史ゆえなんでしょう。長い歴史の中で培われた無意識下の拘束を変えるのはとても難しい。だからこそ、こういう問題を意識の中に持ってくることが大切なんだと思います。
そして、この難しい問題に、純粋な気持ちで強い意志で挑み、挑みつつも人間的な弱さを見せてくれたヒューイを愛しいと感じました。

*1:今じゃすぐPTAだけど、昔はフツーだったもんな。