『嵐が丘』@日生劇場(12:00〜) 1F-XA-27

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原作:エミリー・ブロンテ/脚本・演出:G2
出演:堀北真希山本耕史高橋和也/伊礼彼方/矢崎広小林勝也ソニン戸田恵子陰山泰小林大介近野成美/他

時間ないので手短に。
10年位前に旧宅で「耕史君にドリアン・グレイを是非」と呟き、念願叶って彼のドリアン・グレイを観たとき、こういうByronic Heroが実に似合うなあと思いました。その時、同じカテゴリーのヒースクリフを想像できなかったのは、私が『嵐が丘』の存在をほぼ忘れていたからです(汗)。参照→http://d.hatena.ne.jp/moonblue/20141125/p3
で、耕史君のヒースクリフ。やっぱ彼にはByronic Heroが似合う。てなわけで、次は『モンテ・クリスト伯』をお願いします。あ、ちょっと前に石丸さんがミュージカルでやってたよね。そっちでもいいです。
演出と戸田さんの巧さでものすごく解りやすかったけど、相変わらず誰にも共感できひんわ。「『嵐が丘』好きです♡」な女子のツイートをいくつか見かけたけどおまえらそれホンマか?と問いたい(爆)。ちなみに唐十郎氏が『嵐が丘』の愛読者だそうで、これには非常に納得できます。
嵐が丘』ってただの恋愛小説とちゃいますよね。非常に狭範囲ながら三代に渡る年代記でもあり、ミステリーの要素もあり、語りの手法は能のようだし、最後の収め方なんぞまさに能の修羅物のようだし、まあとにかく「情熱的ね悲恋ねうるうる」で終わっては、エミリー・ブロンテに申し訳ないなと思った次第。ただ、この物語を超著名にしてるのは実際どの辺なんだろ?。やっぱヒースクリフの造形なのかな。アウトロー的ひねくれもんって魅力的ですもんね。『嵐が丘』付近なら『虐げられた人びと』のワルコフスキー公爵とか、最近で言ったらダース・ベイダーとか。わかるひとにはわかる。
今回、久々に“ザ・演劇”なお芝居を堪能しました。奇をてらわず、流行の映像も使わず、超オーソドックスな書き割りとセリを駆使。現代劇ならともかく古典に近いもので映像ばんばん使われたら興醒めだから良かったわー。しかし今どき贅沢ですよ。製作費と人件費考えたら。あと、セリの上下の危険性も含めて。思えば今まで観たG2氏の舞台って、こういう手堅い職人技的なのが殆どだった。贅沢と言えば、ストプレでは珍しい生音。これも良かった。一番前の席だったから、オケピどこか探しちゃった(汗)。
キャストも、華のあるヒロインに超実力派の中堅・大ベテランが周囲を固める基本中の基本で。この手のお芝居のヒロインは華最優先ですよ。真希ちゃんがヘタと言ってるわけではありません。そりゃ技巧的なことだけを言えば更なる精進をと思うよ。でも彼女の存在感は映像作品以上のものを感じたし、イザベラ(ソニン)との丁々発止は見応えありました。声も良いよね。滑舌良いし、通りも質も良いし、結構台詞多いのに公演後半なのに声に疲れが出てない。これは貴重な武器。演技派と言われてる○井○(一応自粛)の舞台観たことあるけど、演技イマイチだったしヒロイン感ないし声は通らないし弱いし滑舌悪いし、「これがあの○井○?」と目を疑ったほどで………改めて適材適所って重要だなと考えてしまった次第。それを思うと、このキャスティングはハズレなしでしたね。戸田さんはもう名人芸だ。