テレビ愛知 『美の巨人たち』 酒井抱一「夏秋草図屏風」 22:00〜22:30

録画済。

今回の作品は、雅な世界に粋と酒脱を吹き込み、江戸琳派を作り上げた天才絵師の最高傑作!酒井抱一作『夏秋草図屏風』。縦164㎝、横181㎝、二曲一双の屏風ですが、驚くことに、あの尾形光琳作『風神雷神図屏風』の裏に描かれているのです。銀地に描かれたのは夏草と秋草。右隻『夏草の図』には頭を垂れた群生する青薄が、見事なまでの鮮やかさと細密さで描かれています。また夕立に打たれてどこか寂しげな草花が。一方、左隻『秋草の図』は、強烈な風にあおられ吹き飛ばされそうに揺れる葛の葉、伸びたススキの穂、赤く色づいた蔦の葉が、深まる秋を告げています。そしてひっそりと咲く藤袴。それまで琳派ではあまり取り上げられなかった草花ばかりです。
姫路藩藩主を祖父に持つ名門・酒井家の次男として生まれ、狂歌俳諧の世界で非凡な才能を見せていた抱一。その後、急速に光琳に傾倒していきますが、なぜ偉大なる先人の絵の裏に、『風神雷神図』と相反するかよわい草花を、しかも金地ではなく銀地に描いたのでしょうか?。実は表と裏に描かれた対照的な世界に、琳派という芸術の究極の絆が秘められていたのです。

番組HPより