ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season花 Produced by TBS@IHIステージアラウンド東京(14:00〜) 1F-3-17

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作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:小栗旬山本耕史/成河/りょう/青木崇高清野菜名近藤芳正古田新太河野まさと/逆木圭一郎/村木よし子/礒野慎吾/吉田メタル/保坂エマ/武田浩二/他

静謐の水蘭、悩乱の白蘭、凄絶の黒蘭。堪能。
わたくし常々、未亡人の(比喩としての)黒衣は脱がすためにあると思ってるんだけども(爆)、脱がしたいか否かは纏う本人によるんだけども、耕史君のお蘭は思いっきり脱がしたいと思いました。いや、ツイで未亡人未亡人言われてたんで(苦笑)。でも現世で脱げなかったな。魂魄になってやっと信長のところへ還って……。
いのうえさんのいう『ドクロゼロ』で、耕史君の絢爛たるお蘭を観てみたい。
天と捨が同じ顔ではない設定。ワカドクロで「え?」となって、観た当時はワカのまさに若いキャストの突っ走り感で、天捨別顔で発生したあちこちの破綻が許されたというかなんというか。その“破綻”部分がそのままだったんで、落ち着いたこのオトナドクロ(勝手に命名)では正直なところ「そりゃねえだろ」に。一応'97年、アカアオ観てドクロBOXも持ってますけど、古参というほどの新感線ファンではない私でも思うから、古参の方々は推して知るべしだろうなと思ったり。まあでもドクロシリーズ知らないひとたちや初新感線というひとたちにとってはそんなこと関係ないんだよな。
旬君が置いてけぼりになってたワカで新たになった天捨蘭の関係性は、旬君の成長により(上から失礼)バランスのよいモノになってました。てかワカより強烈なキャラ立ちの花の天蘭に対峙してよくやってるよ旬君。リベンジしてるよ。
成河さんの天魔王は化鳥(けちょう、と読む)のように嗤うのね。卑にして邪にして狂。狭霧殴る蹴るのとこ最高です。背中ぞくぞく。
私的には、オリジン強しで最初に観た'97年の粟根さんの蘭兵衛がベストですけども、今回は事情が違う(笑)。いのうえさんありがとうございます。中島先生ありがとうございます。過去最も強く最も美しく最も艶やかで最も大人で最も外道で最も危うく哀しく最も切ない耕史君の無界屋蘭兵衛をありがとうございます。いのうえさんの「きっとシビれます」は嘘じゃなかったよ。演技や殺陣は文句なし(来月以降観劇時に書く予定)。ビジュは言いたい。二次元へ帰れ(笑)。いや完璧な二次元的超絶美人ビジュで舞台の三次元に存在できることを讃えねば。正面から見ると非常に美しい男、なのに横顔は男装の麗人。この手のメイクの横顔が実に美人だと思ってたけど、耕史君ファンなら誰もが思ってることだろうけど、今回最高峰。是非写真に映像に。特に黒蘭。
りょうさんの舞台お初。映像では色々観てるけど、こんなに発声が良くていい声だと思ってなかったすんません。スラリと細身の美人で気風のいい姉御極楽ぴったり。お蘭とのバランスも良いよね。清野菜名ちゃんは『素敵な選TAXI』で見事な回し蹴りをしてて「何者?」とWikiって坂口拓氏のとこで修業してて納得。だから今回沙霧と聞いてこれはイケるわと思ったらやはり素晴らしいアクションでした。ワカの里依紗ちゃんが観ててもう可哀そうなくらいぜいぜいしてふらっふらで台詞がほぼ聞こえなかったのに、菜名ちゃんは無問題。ハスキーな声だけど最後まで元気いっぱい。旬君の捨との身長差が好き。青木は兵庫みたいなキャラ合うよね。るろ剣左之助とか。ただやっぱじゅんさんの兵庫がちらついちゃってごめんよ青木。近藤さんは巧すぎる。今までで一番の狸親父っぷりでした。飄々としつつも死んだおよしに手を合わせるとこはうるっときたわ。
古田さんの贋鉄斎には何も言うまい。何か言う必要があるか?。持ってけドロボーみたいな(笑)。


座席の回転は全然気になりませんでした。動く前にわかるし。
1列目がない3列目で実質2列目。舞台前方にいる役者の足元が見えないんだなあ。沙霧がお地蔵さんに手を合わせた後、三五になんだかんだされてるとこ沙霧が全く見えない(爆)。席の段差があまりなくて座高低いと前席のひとの頭で見えないという巷の声はホンマでした。約170cmの私でこうだから、平均的な身長の女性の方々はそら見えんわ。これ後方席ではどうなんでしょうね。
場面転換がスムーズな点以外は、正直回転いらねんじゃね?と思いましたけど(こらこら)、時々吹く“風”を自然なものとして感じることができるのは横移動のおかげかなと。
舞台の間口がスクリーンの開閉で自由自在なのは面白いです。ただ、間口狭いと端っこの席では見切れるんじゃないの?。贋鉄斎の水車砥石全部見えなかったもん。
ステージアラウンドならでははやっぱカテコ。等身大走馬燈*1というか。彼岸花で水蘭見返り美人卑怯だよ。何風に吹かれてんのよ。そっから先行っちゃダメじゃんとか捨に待ってろって言われたじゃんとかもうぶわっと。あと、お蘭が無界屋の回想から髑髏城へ向かうとこ。あれはカテコに負けず劣らず秀逸。もひとつ、捨たちが戦いつつ髑髏城から城外へ出て野へ出て乱戦になるとこね。


客席は回るわ360度舞台だわ人跡まばらな荒野(大げさ)にぽつねんだわでかぶきまくりの芝居小屋。使い勝手も人跡未踏なこの道具立て、嚆矢が放たれ先陣を切ることになった花ドクロ。先駆けを賜るは名誉なことなれど、道を最初に切り開くのは矢面に立つということ。
残り数回、きっちり見届けたいと思います。


この小屋、新感線以外にどこが誰が仕えるんだろうと考えたら、やっぱ歌舞伎かな。勘三郎さんがご存命だったら「何で最初に俺んとこに話持ってこねえんだ」って言いそう(苦笑)。

*1:臨死のアレではないよ。