『Beauty うつくしいもの』@名演小劇場(10:10〜)

“うつくしいもの”とは伊那路村の景色だけでなく、村歌舞伎を愛する心や繋げて守って続けていこうとする気持ち。それが痛々しいほど伝わってくる作品。そして、ロードショーの感動大作のように泣かそう泣かそうという押し付けがましいシーンは皆無なのに、観るうちに自然に涙が頬を伝わる、そんな映画でした。
じわりの涙がぶわっとなってしまったのは、半次(孝太郎)と雪夫(愛之助)の出生前のお別れ狂言でのあるシーン。戦時下で口にしてはいけない思いを叫ぶ親たちの姿に滂沱。
少年時代の半次と雪夫を演じた高橋平君と大島空良君がとっても良くて。高橋君の女形っぷりが見事。大島君は一般人オーディションからの大抜擢で初演技とは思えない出来映え。この2人の『新口村』をもっと観たかったな。
1つだけ辛口を。半次がわかりやすいキャラ*1な反面、雪夫の方に色々なテーマを詰め込み過ぎた感じで、愛之助さんが演技面で苦労してるなというのがわかってしまったのがちょっと残念。監督が訴えたいものはわかるんだけどね。
ラストの半次の『天竜恋飛沫』*2は圧巻。老いさらばえて、戦争で悪くした足を引きずり引きずり踊る、決して美しい姿ではないのに魅入る。
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余話。エキストラに仁左さまと秀太郎さん。仁左さまはわかりやすいんだけど、秀太郎さんは危うく見逃すとこだった(笑)。

*1:主人公だからというのもあるけど。

*2:映画オリジナルの舞踊。