『名古屋開府400年記念特別展 変革のとき 桃山』(後期)@名古屋市博物館

巡回開催の企画ではないのに、結構充実の展示でした。やれば出来るじゃん。でも、国宝の『蔦蒔絵唐櫃』(厳島神社蔵)は全期間展示してほしかったなあ。あと、赤楽の『無一物』も。あ、茶入の『勢高』も。言い出したらキリがないやね。
他蔵の屏風や二条城の障壁画を観てると、つくづく名古屋城の焼失が悔やまれる。ほぼ同時期の二条城に負けないレベルの襖絵や障壁画があったし、まるごと国宝だったし。
以下、お気に入り。
洛中洛外図屏風』(八曲一隻/江戸初期/個人蔵/本展初公開)
『日本図世界図屏風』(六曲一隻/江戸前期/名古屋市博物館蔵)
『花鳥蒔絵螺鈿聖龕』(桃山/九州国立博物館蔵)
舞楽蒔絵硯箱』(桃山〜江戸前期/個人蔵)
『黒楽茶碗 銘 時雨』(本阿弥光悦作/江戸前期/名古屋市博物館蔵)

『日本図世界図屏風』の画像を探しまくったんだけどweb上に無い。探し方が悪いのか?。これ面白いんだけどなあ。10/19付けの中日夕刊に、山口晃氏がコメントを寄せてくれてたので載せとこう。

この図に描かれているのは、すべて単なる情報にすぎないのに、この美しさときたらどうでしょう。金泥と岩絵の具で描かれた地図が目を惹きますが、それを引き立てつつ対照の妙をなしているのが、画面両端の文字部分です。
特に向かって右の日本六十余州を国ごとに文字化した方形の集まりは、本州。四国・九州に分けられ、文字でありながら地図と相似形をしています。さらに、その中での各国の位置合わせの正確さや、それでいて美しいコンポジションをみせるあたり、シビれます。
これらが、左端の将軍たちの年譜や、有機的な線による地図とオーバーラップするとき、かつての観者の頭の中にどれだけの時空間の広がりを生んだことでしょう。