NHK教育 『ETV特集』 鬼の散りぎわ〜文楽・竹本住大夫 最後の舞台〜 23:00〜24:00

録画済。

伝統芸能人形浄瑠璃文楽に長年君臨してきた人間国宝竹本住大夫が、4月の大阪、5月の東京での華々しい引退公演を終え、舞台生活に幕を下ろしました。
住大夫は、登場人物すべてのせりふを語り、物語をつかさどる「太夫」の最高峰。大正13年、大阪北新地生まれの住大夫は、文楽初の人間国宝である父・六世住大夫に幼少から仕込まれた文楽の申し子。いぶし銀の語りで、荒ぶる武士から貧しい町人、老婆から生娘まで、あらゆる登場人物の情をよみがえらせ、客に涙を絞らせてきました。
そして、自他ともに厳しい稽古を課す「稽古の鬼」として文楽をけん引してきました。一昨年、転機が訪れます。大阪市が突然文楽への補助金の削減を打ち出し、文楽を代表して交渉に当たっていた住大夫は、脳梗塞で倒れたのです。そのとき87歳。誰もが再起不能と考えました。しかし住大夫は諦めませんでした。腹筋のトレーニングや発声練習を重ね、執念のリハビリで奇跡の復活を遂げ、引退公演でみずからの芸の集大成を披露する決意をしたのです。
番組では、昨年の暮れから撮影を開始。みずからのふがいなさに焦り、落胆する姿。弟子への稽古で見せる、芸を伝えるための凄まじい気迫。妻との花見のおりに見せる万感の思い。そして劇場が一丸となり、住大夫がこん身の力をぶつけた最後の舞台。喜怒哀楽の情を深くもの語る文楽太夫ならではの、豊かな人間性を記録することができました。
68年の芸道をしめくくる引退公演にのぞむ住大夫に密着取材し、気骨ある引き際の姿に迫る番組です。

NHK 番組HPより