『ウルフマン』@ミッドランドスクエアシネマ(14:30〜)

オリジナルの『狼男』の時代設定は公開当時の1941年。リメイクの今回は19世紀末のイギリス。ヴィクトリア朝のガス燈揺らめくロンドンと霧深い荒涼とした田舎の古城。大好物です(笑)。時代の空気感と映像は圧倒的。ダークで美しく、闇の中の青白い光は幻想的で妖しくて…。堪能。
内容的には原作が原作なもので超古典的ホラー。あまり脚本いじってない感じで直球のリメイク。良い意味で安心して見られる落ち着いた大人向けのホラー。悪く言えば古臭い。批評もこれが断然多くて……。でもその程度で済んでるのは名優2人のおかげでしょう。ベニチオ・デル・トロVSアンソニー・ホプキンスですもん。シンプルな作品ながらも魅せてくれました。逆にこの2人じゃなかったら観てないわ(爆)。
ストーリーはもう少し捻りが欲しかったな。特にローレンス(ベニチオ・デル・トロ)の心の葛藤とか、グエン(エミリー・ブラント)との絡みとかの描き込みが浅い。エミリー・ブラントがラストで見せる表情が素晴らしくて、それだけに、ね。イイ女優を使ってるのにもったいない。全体的に大味なんだよね。色々な伏線未回収だし。原作へのリスペクトが強すぎたのかも。それだけ原作を大切にしてるということでしょうけど。
もちろん良いとこも。精神科医たちの前でローレンスがウルフマンに変身していくシーンは迫力満点。暗い森の月の光の下でなく、満場の煌々と灯りの点いた部屋の中でのメタモルフォーゼ。これは現代の映像技術ならでは。その後、精神科医たちがウルフマンに襲われるのが実に小気味良くて。窓から投げられて門の柵にぐっさりですよ。前振りのローレンスに対する治療という名目の拷問があるだけにね。スカッとしました。
あと、アバライン警部(ヒューゴ・ウィーヴィング)の配置がナイス。びっくりしたけど。なんならジョニー・デップでも良かったのに(笑)*1。まあそれは置いといて、アバライン警部が“受け継いだ”というのなら……えっと、もしかして、真のアレは……。“切り裂きジャック”メインで続編作りますか、ジョンストン監督?。
“大人向け”と前述しましたが、実際R15+でした(汗)。手が飛び首が飛びお腹ぱっくり内臓でろでろ。オットが好きなゾンビ映画だとあれくらい普通なんだけどね。子供は観ちゃいけません。
http://www.wolfman-movie.jp/

*1:フロム・ヘル』ね。