過去1,000年で「世界に最も影響を与えた人物100人」（米ライフ誌選定）に、ただ1人選ばれた日本人、それが江戸末期の浮世絵師、葛飾北斎。印象派に大きな影響を与えたこの驚異の天才の歴史的復刻が生誕250年にあたる2010年の夏に始まった。パリで発見された北斎幻の浮世絵シリーズ「千絵の海」の完全復刻だ。
「千絵の海」は、関東周辺各地の漁をテーマとし、変幻する水と人間の織り成す景趣を描いた錦絵と呼ばれる多色浮世絵シリーズ全10図。代表作「冨嶽三十六景」の直後に手がけられた幻の傑作で、北斎浮世絵の中でも、最も価値の高い作品だ。その最大の理由は、数の少なさ。当時ですら各図10枚ほどしかすられなかったと考えられ、全10図そろいのセットは国内に存在しない。その「千絵の海」を完全セットで保存していたのが、パリ国立図書館写本部門。存在を発見確認したのは、東京伝統木版画工芸協同組合理事長・本田正明氏だった。
番組は、この北斎幻の傑作調査と復刻を半年間独占取材。謎の多い「千絵の海」の秘密をその過程から解き明かし、世界を変えた日本の天才浮世絵師、北斎の創造の秘密に迫る。NHKHP 年末年始NAVIより抜粋録画済。
【参考】葛飾北斎、波の伊八、堤等琳関連の記事
http://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/item/hokusai_oceans.htm
http://www.geocities.jp/nakazusa/turedure/ihati.htm
http://www.ne.jp/asahi/inlet/jomonjin/ihachi.html
パリの『千絵の海』。10枚フルセットで色も摺られた当時の綺麗なまま。エクセレント。惜しむらくは、折り本にしてしまったために横がちょっとカットされちゃってんのよねえ。でもそれは蒐集家の方のせいではないし、よくぞ保存していただいたとただただ感謝。アムステルダム国立美術館が、日本で購入した廃棄寸前の鎌倉時代の阿吽の仁王像にしても同じだけど、日本が誇る素晴らしい芸術品でもベストな状態で大事にしてくれれば、どこにあろうと構わない。誰が持ってようと構わない。自国の文明の発展のためなら文化をないがしろにしてもかまわないと考えてる日本政府*1に鉄槌を！*2。
しかし、パリ版の線の弱さを考えると、定説の試し摺りではなくかなり版を重ねたものらしい。つまり試しの数十枚ではなく、何百という大量生産。いったいどこにあるんでしょうね。
