東海テレビ 『すべてがFになる』#8 21:00〜21:54

録画済。


「綺麗だろう?」
一瞬で別人のように変わる寺林(山本耕史)の顔。今までそこにいたのはいったい誰かと思うほど。
耕史君の真骨頂ですな(拍手)。
色々わきわきわきわきしましたけども、ミステリドラマとしてはやっぱりイマイチ。
犀川先生(綾野剛)との対話は良かったです。
レクター博士クラリスをちょっと思い出しました。
「紀世都君が消えれば僕の雌型がオンリーワンになる。紀世都君は僕だけのものになる」
ピグマリオンコンプレックスとも違うんだなあ。そしてコールドスリープとかクローンじゃダメなんでしょうね。意志も血も不要の唯一無二の型。虚ろな型。その空虚は寺林の美意識が埋め尽くす。
ここへきて新たなジャンル発見て寺林(汗)。あれだロダンだ。

美は到るところにあります。美がわれわれに背くのではなくて、われわれの眼が美を認めそこなうのです。

ロダンロダンの言葉抄』高村光太郎訳(岩波文庫)より抜粋

「生から死へと向かう瞬間。その一瞬だけしか見られないはかない美しさがある」
こっちバタイユやん。

エロティシズムについてはそれが死にまで至る生の称揚だと言うことができる。適切に言えば、これは定義ではない。

ジョルジュ・バタイユ『エロティシズム』澁澤龍彦訳(二見書房)より抜粋

「ひょっとしたら萌絵はまだ心のどこかで「死にたい」と思ってるんじゃないでしょうか?」by西之園捷輔(吉田鋼太郎
寺林はその幽かな部分を感じ取ったんだろうか。
今この時点で、彼の同志は紀世都(中島歩)だけ。彼の心理や主義や思想は常人には理解し難いし、理解しようと思うひとは少ないだろう。寺林のようなひとびとが現実にいることを知っていてもね。でもこれだけは言える。あの狂気は特別でもなんでもなく巷に、すぐ隣にある*1
寺林がどことなく犀川先生に似ていると言った萌絵(武井咲)。
「彼女を殺したら僕はあなたを殺します」
表裏一体。犀川先生がもし境界を超えたら………。
事件解決後も、犀川先生が「寺林」ではなく「寺林さん」と言ってたのがツボでした。単に安朋(小松和重)の知り合いだったからかしら。


余話1。地球防衛軍バッジ侮れん。
余話2。耕史君ファン誰もが思った「耕史君の体の型の方が絶対綺麗やん」
余話3。ロッキングチェアに座る姿が素敵。長い脚が強調されるわ。安楽椅子探偵的なのやってくれないかな。あ、唐突に『薔薇の名前』の修道士ウィリアムみたいなのとかも。あと、芹沢博士。えーと1954年版『ゴジラ』のね。もひとつ玉手御前(爆)。バサっバサバサバサっ(違)。
余話4。サイコパスモノって今じゃ掃いて捨てるほどあるけど、これが書かれた90年代ではまだ珍しかったと思うのね。やっぱ森博嗣氏凄い。
余話5。11/21の記事で「耕史君犯人じゃね?」とか書きましたが、当たりつーかなんつーか(苦笑)。オットには「そんなん当たり前やろ」と言われました。http://d.hatena.ne.jp/moonblue/20141121/p4

*1:というようなことをヴォイツェクの感想にも書いてたな。http://d.hatena.ne.jp/moonblue/20131014/p1