独特の観察眼による「テレビ批評」と唯一無二の「消しゴム版画」で多くの熱狂的なファンを獲得したナンシー関。き代のコラムニストの短くも激しい人生を余すところなく描く。
毒に満ちたユーモアと舌ぽう鋭い文体は、テレビをつうじて社会そのものを批評していた。没後12年の歳月を経てもなお、その文章は古びることがなく、今も新たな読者を獲得している。「私は『顔面至上主義』を謳う。見えるものしか見ない。しかし目を皿のようにして見る。そし見破る。」テレビ画面に映ったものがすべて、という一般視聴者と同じ視点で批評する。それがナンシー関の矜持であった。