NHKBShi 『男前列伝』 「最後の浮世絵師 変われない己を貫く」−月岡芳年×佐野史郎− 21:30〜22:00

幕末から明治にかけて活躍した月岡芳年(1839-1892)。芥川龍之介江戸川乱歩三島由紀夫も絶賛した「最後の浮世絵師」は、「血みどろ絵」と呼ばれるショッキングな浮世絵で人気を博した。しかし、明治初期、浮世絵が次第にすたれ仲間が次々と廃業していく中、30代前半の芳年は神経衰弱に陥ってしまう。それでも描き続けたのが、妖怪や幽霊が登場する恐ろしい場面。そして40代後半、半裸の妊婦が逆さ吊りにされて鬼婆に狙われる『奥州安達が原ひとつ家の図』でセンセーションを巻き起こして見事に復活を遂げる。描き続けたのは、妖怪や幽霊。時代がどんなに変わろうとも、人の中にある“恐ろしい”という感覚に、人間の悲しさ、美しさを見つけ、新たな表現に挑み続けたのである。その芳年に、琴線を揺さぶられているのが俳優・佐野史郎。「この世界に深入りするのは恐い」と佐野史郎はいう。佐野が、ゆかりの地を訪ね、作品を見つめ、時代が激変するなかで、恐ろしい絵を求めた芳年の思いをあぶり出す。

NHK 番組情報ページより抜粋

きゃー金子先生!*1きゃー仁左さまの福岡貢!きゃー誰かの団七九郎兵衛!(誰かわからんかった/汗)。きゃーきゃー言ってるうちに金子先生の出番が終わってしまったわ。しかし嬉々として芳年の絵の解説をする金子先生の楽しそうなこと(笑)。血みどろは歌舞伎に付き物でございます。上の2つ以外にも色々。新しいところで三島の『椿説弓張月』。変わり種だと『鈴ヶ森』の刀で顔やお尻そがれたり。これはちょっと笑ってしまうんだけど、よく考えたらエグいことこの上ない。
でも、佐野史郎の「血を見るとわくわくする」って気持ちはわかるなあ。禍々しいもの、恐ろしいものにこそ魅かれる。昼の光より夜の闇。闇に蠢く怪異。見るなと言われれば見たくなる。知らないゆえの恐怖は、知れば乗り越えられるかというとそうではなく、更に恐怖がつのる。その感覚を楽しむ。好奇心猫をも殺す、と。いや死んではダメですが(汗)。まあ闇=彼の世とすれば、一種の精神的臨死体験と言えなくもないか。
今回は『月百姿』は完全スルーっすね。“血みどろ”じゃないからしょうがないやね。血は皆無でも、月=ルナ=ルナティック=ものくるひ*2=狂気、と、いかにも芳年らしいし、美しく幽玄で好きなんだけどなあ。能の謡曲を題材にしてるものも多いし…。『田村』*3、『橋弁慶』*4に『船弁慶*5、『釣狐』*6とか『清経』*7とかね。『花よりも花の如く』の狂言師・宮本芳年月岡芳年から採ったと成田美名子先生。納得なのです。
しかしながら、三島とは何かと繋がってる。というか私の様々の大元が三島由紀夫なんだよね。そして澁澤龍彦金子國義へ。