『平家物語画帖 諸行無常のミニアチュール』前期@根津美術館


http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
やっと根津美術館デビュー。田舎者ですからね。耕史君のはソワレだけで、昼間に何にもしないのはもったいないし、展示も興味をそそられるものだったので行ってみました。
門から玄関までのアプローチでまず感動。みゆき通りの両側に建ち並ぶおされなブランドの路面店の終点に現れる、静寂の異空間。竹の植栽は外界の景色だけでなく喧騒も遮ってくれそう。通すのは風だけ、みたいな。晴れよりも小雨が降ってるくらいの方が良いと思いました。庭園もね。神社仏閣でもそうですけど、自然の緑は少し水を含んだ方が美しい色を見せてくれるのです。
しかし、庭園広いわー。大都会のど真ん中になんつー贅沢。あまり時間がなかったので、展示観てから4つの茶室だけ巡って、NEZUCAFEで抹茶ラテいただいて一休みして、池袋に向かいました。
平家物語画帖』はとても綺麗でした。17〜18世紀の作品だからものすごく古いものではないけど、その分色鮮やかな大和絵を堪能。金地に描かれた普通の扇面より小さなサイズの細密画。能や歌舞伎でおなじみの場面やら、大河で観た場面やら、これから出てくるであろう場面やら……人が少なかったので、じっくり見ることができました。もっと近くで観たかったなあ。
後期も観たいーー。画帖は前後期で展示替えがあるのです。よりりんがいるかもしれない“鵺の事”は後期。あ、でもちょっとだけいましたよ。小柄の説明文に(爆)。後藤一乗作の“月時鳥図小柄”が展示されてました。全長10cmもない小柄*1に、月と時鳥がこれまたすんごい細かい細工で穿たれてまして。『平家物語』の中でも有名どころの下記の場面が題材となっております。

主上、御感のあまりに、「師子王」といふ御剣を頼政に下し賜はる。頼長の左府これを賜はり次いで、頼政に賜はるとて、ころは卯月のはじめのことなりければ、雲居にほととぎす、二声三声おとづれて過ぎける。頼長の左府、
ほととぎす雲居に名をやあぐるらん
と仰せられたりすれば、頼政右の膝をつき、左の袖をひろげて、月を少しそば目にかけ、弓わきばさみて、
弓張り月のいるにまかせて
とつかまつりて、御剣を賜はつてぞ出でにける。
「弓矢の道に長ずるのみならず、、歌道もすぐれたりける」
と、君も臣も感ぜられる。さてこの変化の物をば、うつほ舟に入れて、流されけるとぞ聞こえし。

新潮日本古典集成『平家物語』上 巻第四 鵺 より抜粋

*1:小刀つけてない状態。