花組ヌーベル(花組芝居)『番町皿屋敷』@テレピアホール(14:00〜) 1F-L-20

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作:岡本綺堂
構成・演出:加納幸和
出演:小林大介(青山播磨)/谷山知宏(用人柴田十太夫・渋川の後室真弓)/美斉津恵友(奴権次)/丸川敬之(奴権六)/加納幸和(青山の腰元お菊)/堀越涼(青山の腰元お仙)/北沢洋(放駒四郎兵衛)/松原綾央(並木の長吉)/磯村智彦(橋場の仁助)/二瓶拓也(茶屋の娘)

超久々のナマ花組芝居。だって名古屋に来たの17年振りですもん。その時は友達につきあっての観劇だった記憶なんだけど、どんな演目だったのかの記憶なし(爆)。調べたら『定本いろは四谷怪談』でございました。
終演後、オリジナル団扇にサインのサービス!。昼公演のサイン当番は季蛙屋さんと射留屋さんと鳴流屋さん。
http://hanagumi.ne.jp/index.html
写真では黄色く見えるけど実際はオレンジの裏面*1に実に丁寧に書いてくれました。ありがとうございますー。
どうも混同しがちな皿屋敷。今回は、「いちま〜い、にま〜い……」の幽霊のお菊が出てくる『播州皿屋敷』じゃなくて、岡本綺堂作の新歌舞伎『番町皿屋敷』。青山播磨と腰元・お菊の悲恋物語です。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1309_20626.html
歌舞伎だと確か1時間ちょいのお話。でもそこは花組芝居なのでなんやかんやで90分(笑)。
舞台装置は、花道が橋掛かりだったり井戸が木枠のみだったりで能を模してたり*2、下座音楽が本格的に杵屋邦寿社中だったり、舞台装飾は黒幕バックに上から吊り下げられた満開の桜だけの超シンプルだったりと、花組の粋を見ました。
その中でのなんやかんやが楽しくてもう。大笑いしそうなのを抑えるのに必死。放駒四郎兵衞と並木の長吉と橋場の仁助が助六と揚幕と弁慶なんだよー。弁慶なんか「○○*3になりたやなりたや」とか言ってるし、茶屋娘に「コスプレ?」とか言われてるし、その茶屋娘は携帯いじってるし、花見の喧嘩のとこでは、播磨の叔母が勧進帳の弁慶よろしく押し戻ししてるし、お皿の状態を確認するとこの下座音楽は『なんでも鑑定団』の鑑定中のヤツだし、播磨は「あすなろ白書!」とか言ってお菊に後ろから抱きっ。と枚挙にいとまなし。
でもこれらの遊びの部分をよそに、物語は崩れることなくちゃんと進んでくんだよね。
お仙とお菊という2人の女の浅はかさと哀しさ、播磨とお菊の純愛、堪能いたしました。
そういや大詰めも大詰め、お菊を斬ってからの播磨の見せ場にもすぽーんと笑いがひとつ。そこからまた本筋に戻っての展開。この落差がいいんでしょうね。あと、お菊の葛藤を表わすのに今話題の『ブラックスワン』ネタ。お仙が黒鳥、十太夫が白鳥に扮して、お菊の心の中の天使と悪魔を演じるの。笑いどころながら見事な演出。
更に更に、お菊が斬られてばったりじゃなく、斬られた肩から流れる血を手に取りゆっくりゆっくり崩れ落ちていくとこ。すべてが終わったあとで、お仙がお菊が投げ込まれた井戸を眺めつつ大泣きで、十太夫に支えられてハケていくとこ。原作のホンにはないんですよね。本チャンの歌舞伎*4にあったかな?(うろ覚え/汗)。まあとにかくこれも見事。
天晴れ花組芝居。毎年とは言わないから5年に1回くらいでもいいから名古屋に来てーーー。とアンケートに書かせていただきました。


余話。原作には名前のみ登場の播磨の花嫁候補・飯田町の大久保の娘が“大久保新大久保”として登場*5。キャラ的に一番強烈でした。金はそこそこあるらしい家で「名古屋買いに行きましょ名古屋」とか言ってハケてった。名古屋市をまるごと買う気らしいです(笑)。


http://hanagumi.ne.jp/reki/n4/

*1:日本地図の下に“PR(L)AY FOR JAPAN”と印刷。RとLは実物は上下に印刷されてます。

*2:福岡公演が住吉能楽殿だからなんでしょうね。ただ橋掛かりの揚幕は能の五色ではなく、歌舞伎の鳥屋のそれだった。

*3:何か忘れた(^_^;) 

*4:というと語弊があるけど。

*5:キャスト表にはないんだけど、放駒の北沢さんの2役。