『音楽劇 ヴォイツェク−Woyzeck−』@シアターBRAVA!(13:00〜) 1F-J-9

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原作:ゲオルク・ビューヒナー/脚本:赤堀雅秋/演出:白井晃/音楽:三宅純
美術:松井るみ/照明:齋藤茂男/音響:井上正弘/衣裳:伊藤佐智子/ヘアメイク:川端富雄
アクション:渥美博/振付:井手茂太/歌唱指導:満田恵子/舞台監督:有馬則純/技術監督:大平久美/演出助手:西祐子、松森望宏
出演:山本耕史/マイコ/石黒英雄良知真次/池下重大/青山草太/日比大介/駒木根隆介/加藤貴彦/半海一晃春海四方真行寺君枝/今村ねずみ/団時朗/他

14日東京楽の感想を踏まえた上で。
ヴォイツェクが死んでも次の彼が現れる。いや作り出される。白と黒、善と悪、理知と無知。何もかもが相対的な世界のしくみが変わらない限り、“ヴォイツェク”は世俗によって作り出され存在し続けるのかもしれない。ここでは、次の“ヴォイツェク”は、アンドレースなのかもしれない。
マリー以外では、一番ヴォイツェクに近いところにいるアンドレースでさえ「ヴォイツェク」とヴォイツェクを呼ぶ。ヴォイツェクを「フランツ」と呼ぶ人間がもう少しいたら、彼は違った人生を送れたのかもしれない。些細なことだけれども、そんなことでと一笑に付されるだろうけども、人生なんてそれ程にあやふやで危ういものだと思うのです。
「ヴォイツェク」と呪いのような呼びかけにもがくヴォイツェク。彼の叫びも足跡も、波の音に飲み込まれて、やがて何事もなかったように、ヴォイツェクなどいなかったように湖面が凪いでいく。そしてまた父も母もいないこどもがひとり……。クリスティアンの無垢が、ヴォイツェクのように歪みに囚われることが無い様祈るばかり。


水の使い方が印象的な舞台でした。歌舞伎やストレートプレイで本水を使った作品は何本か観たことあるけど、どれも水の激しさを利用したもので、今回のように静けさを作り出した本水は珍しいと思うんですよね。湖*1という実景だけでなく、空間の静寂さを見事に表していたのではないでしょうか。
本水について少し→http://www.lunadfuego.com/Otowa_D/otowa96_09.html
以前から読ませていただいていた石丸耕一氏のダイアリー。東京芸術劇場で音響を担当されてます。


追記 11/5 23:19
友情報。湖でも沼でもなく池でした(汗)。

*1:沼でしたっけ?(汗)