『宝塚BOYS』@中日劇場(18:30〜) 1F-18-48

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次の日も観に来ようかと思ったくらいいい舞台でした。*1
“回天”や“知覧”や“ミンダナオ”といった、男たちの生々しく殺伐とした言葉が不釣合いな別世界の夢の宝塚。美しいものは残酷だなと。崇拝者にちらりと見せた微笑みも満面の笑みにに変わることなく、やがてそっぽを向く。その残酷さを知らず想像もせず、ひたすら憧れ夢破れる男たちのお話。
途中で何度も涙出そうになっちゃった。
特に三宅さんの最後の稽古場のシーン。映像で、舞台で三宅さんを観る度に泣かされてるような気がする。コミカルなのに収まるところがなんとも切ない役ってのが彼にぴったり。現にそういう役どころ多いし。
そう思うとこれはあてがきに近いのかな。他のキャストもはまりまくり。
6年ぶりに初風さんを拝見。男子部とのお稽古シーンでは宝塚おそるべし!一声で空気を変えるあの力はさすがですね。レビューシーンでの〔すみれの花〕は往年のファンにとっては素敵なプレゼントでは?相変わらず美しい歌声でした。
“踊れる”吉野さんを持ってきたのは大正解。役柄上のハッタリも効くし最後のレビューは特にね。彼を軸に、皆が引っ張られてて、サマになってたとは言いがたいけど(失礼)すっごい頑張ってたもん。
そのレビュー、宝塚大劇場に立てるわけもなく皆の“夢”のレビューシーンなんだけど、綺麗で楽しくてちょっと間抜けで、でも最高に素敵。曲に合わせて観客も手拍子しまくり。彼らが本物の宝塚ばりに羽を背負って手を繋いで一列に並んで、観客に向かって見せた笑顔は値千金。
普通、華やかな吉野さんに目が行くんだけど*2、今回は花緑さんに持ってかれました。あの真っ直ぐな瞳と真っ直ぐな心と真っ直ぐな最敬礼。*3意外にダンスは巧いし、ピアノもめちゃめちゃ巧いと思ったらCD出してるではありませんか。さすが芸能一家の血というべきか。劇中で花緑さんのピアノと三宅さんの木の椅子のドラムセッションがあって、「おお!芸は身を助く」とひとり感動。知らないひとにはなんのこっちゃだけど、三宅さんは紅白にも出たあの“グループ魂”のドラマーなのです。
夢破れてしまったけど、皆の別れ際に三宅さんが差し出す「飴ちゃん」に救われた気がする。
書くの忘れてた。
山路さんは、いつもの如くお茶目でダンディーで飄々としてカッコよかったー。須賀君もね。父親の戦死を知らされて、ひとり部屋で号泣する18歳の少年に、おばちゃんヤラレました。


『宝塚BOYS』公式


参考までに。 

*1:仕事が休めず断念したけど。

*2:もともとファンなんだし。

*3:いや最敬礼って90度なんだけど、そのあり方が見事ってことで。