『六月大歌舞伎』昼の部@新橋演舞場(11:00〜)


頼朝の死
源頼家染五郎/小周防:孝太郎/畠山重保:愛之助音羽:梅枝/榛谷重朝:種太郎/藤沢清親:萬太郎/別当快順:廣太郎/別当慈円坊祐玄:吉之助/別当定海:桂三/中野五郎:右之助/小笠原弥太郎:友右衛門/大江広元歌昇/尼御台所政子:時蔵
あるブロガーさんが役者が若すぎると書かれてたんですけど、私的に全然OK。映像で観た2年前の吉右衛門さんの頼家では演技どうのではなく、2代目ぼんぼん若社長の苦悩(つまるところそーいう話)という点で年齢的にしっくりこなかったので。歌舞伎でそういうこと気にしてたら観れないのは承知の上。この頃頼家がどれくらいだったかというと20歳そこそこ。重保だって父親の重忠が40歳そこそこ。重保の生年不明でも重保の年齢も頼家とさほど変わらんでしょう。それがもともと頭にあったから、今回の配役はベストバランスです。
染ちゃんの悩める御曹司ってのは台詞まわしの少々の難(汗)も気にならないほどニンだし、愛之助さんは主殺しの秘密に苦しむ若き忠臣にぴったりだし、小周防の儚げな不幸っぷりは孝太郎さんの小柄さや拵えがしっくりきたし。時蔵さんや歌昇さんは言わずもがな。よいものを観ました。


梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場
梶原景時吉右衛門/梢:芝雀/俣野景久:歌昇/大名山口政信:種太郎/大名川島近重:種之助/大名岡崎頼国:米吉/大名森村宗連:吉之助/剣菱呑助:由次郎/飛脚早助:錦之助/六郎太夫歌六大庭景親段四郎
あんまり好きな話じゃないけど、そこは吉右衛門さんですから。ナマで観れて嬉しい。
歌六さんと歌昇さんもご出演で大向こうさんの「播磨屋!」がたくさんで嬉しい。今まで事実上、吉右衛門さんだけでしたから。


連獅子 長唄囃子連中
狂言師右近後に親獅子の精:仁左衛門狂言師左近後に仔獅子の精:千之助/浄土僧専念:愛之助/法華僧日門:錦之助
仁左さまの毛振りがかなり鈍いかなとか、振り付けは千之助君中心で、仁左さまが千之助君の動きを見て合わせてるなとか、そんな些細なことはどうでもいいんです。小さな体で一生懸命、舞台で飛び跳ね花道を駆け抜ける千之助君。大好きなおーぱと一緒の舞台に立って踊れて楽しくて嬉しくてしょうがない千之助君。それをあたたかく見守りつつリードする仁左さま。千之助君が花道をすすすすーーーっと実に見事にバックではけて、再び登場した時の仁左さま、顔にちょっと笑みが見えましたよ。ホッとしたのかも(苦笑)。これは本来の連獅子のあるべき姿じゃないかもしれませんが、松嶋屋ファンにとってはマジどうでもいいんです。大松嶋と豆松嶋の踊りが観れればいいんです。
見た目には、仁左さまがお歳のわりには背が高く、11歳の千之助君と舞台にいると、親獅子・仔獅子が強調されて新鮮。千之助君がホントちっこいから軽やかでねえ。台に乗る時もぽんっと乗るし、高合引きから降りるときはふわっと降りるし、側転も簡単にくるっとするし、花道駆けると仔獅子というより子猫がととととととって走ってる感じ。テラかわゆす。でも毛振りは仁左さまをリードする勢いでぶんぶんぶんぶん。そらもう客席拍手喝采。千之助君の踊りは教えられたことをきちんとこなすだけでなく、ちゃんとメリハリも効いてて見応え十分。将来がめちゃくちゃ楽しみです。そういえばこんなこともあったなあ。更にこんなことを繰り返しつつ乗り越えつつ伸びていってほしいな。
仁左さまはもうねえ、あの花道を進むときの威風辺りを払うがごとくの風格が素敵過ぎて溜息しか出ない。毛振りの鈍さなんぞまるっとつるっと帳消しですわ。
超眼福でした。
って、うにゃー書くの忘れてた。間狂言の宗論交わす2人の僧。こんなイケメンの組み合わせは珍しかろう(笑)。