BS朝日 『時をかける浮世絵師〜歌川国芳・江戸にスカイツリ―を描いた男〜』 21:00〜22:54

録画済。

それは美術史上もっとも「奇妙」な事件。 物語の発端は今から180年前に描かれた一枚の絵。その絵には「ありえないもの」が描かれていた・・・。
「東都三つ又の図」
煙がたなびく隅田川ののどかな風景を楽しみながら、ふと川の向こうに目を向けると、そこにはなんと、「東京スカイツリー」に酷似した建造物がそびえ立っているではないか!。2011年現在、「東都三ツ股の図」に描かれているのと同じ場所に立ってみると、まさに同じ光景が目に飛び込んでくる。まるで未来を予見していたようなこの絵を描いたのは、いったい何者なのだろうか。そして、東京スカイツリーそっくりの建造物の正体とは・・・。
庶民文化が開花した江戸時代後期に登場し、「江戸に国芳あり」と称えられた天才浮世絵師・歌川国芳(1798〜1861)。 この男こそ、「東都三ツ股の図」の作者である。 すさまじい才能を持った国芳だったが、歌川広重葛飾北斎喜多川歌麿といった華やかなスターたちの陰に埋もれ、長い間忘れ去られていた。20世紀後半、海外で彼の存在がクローズアップされ、再評価が始まると、驚くべき画業が明らかになり、人々は国芳をこう呼んだ。“奇想の絵師”―。
国芳は、春画美人画、役者絵、風景画、武者絵、風刺絵など、あらゆるジャンルで活躍し、膨大な数の作品を残している。「金魚づくし ぼんぼん」に描かれたような、人間のように活躍する動物たちは、国芳のおはこ。 落書き風のポップアートや、「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」が代表的な、不思議なトリックアート、そして大迫力のワイドスクリーンのような絵まで、自由自在であった。また、国芳の絵は「謎めいたメッセージ」が読み取れることでも話題だ。やがて牙をむく自然の脅威を知っていたのか、まるで化け物のように描かれた風景画は目を引く。 そして、「東都御厩川岸之図」で人物が何げなく持っている番傘に記された「千八百六十一番」という謎の数字も、実は国芳の没年が西暦「1861年」なのだから、意味を深読みしたくなる。果たして国芳は、未来を見たのだろうか?。
国芳の謎に挑むのは、俳優・山本耕史。“時をかける浮世絵師”の謎めいた生い立ち、江戸を代表する天才絵師・葛飾北斎との出会い、空前の大ブレーク、そして幕府からの弾圧―。無数の浮世絵をヒントに、そのスリリングな人生を追う。
国芳が生きた時代は、飢饉や地震が相次ぐ激動の世。それは、21世紀の日本と奇妙に符号する。閉塞した時代を、反骨精神と奇抜なアイデアで縦横無尽に駆け抜けた国芳の浮世絵は、江戸の庶民に勇気と笑いを与えた。そのたくましく、したたかな生き方と奇想は、現代の日本にも活力を与えるに違いない。

BS朝日 番組紹介より