NHKBSプレミアム 『真田丸』#28 “受難” 18:00〜18:45

録画済。


関白豊臣秀次新納慎也)に合掌。
たか(岸井ゆきの)と一緒に、いや家族みんなで七つの海へ漕ぎ出せたら良かったのに。東方のジパングから西の海へ。でも西方浄土へ行ってしまったよ。
秀次の死を目の当たりした正則(深水元基)。
秀吉(小日向文世)の尋常でない怒りを受け止めた三成(山本耕史)。
東へ西へ。
徳川秀忠星野源)と本多正純伊東孝明)が同時登場。確固たる跡取りということで、豊臣家の対比として描かれたのだろうけど、私的には宇都宮釣天井(爆)。あと、正純は関ヶ原後の三成とのアレがありますな。三谷さんが描くかどうかは別として、ちゃんと顔見せしとけば唐突感はない。

このころには、聚楽第を訪ねてくる大名は一人も居なくなった。目さきの早さで知られた伊達政宗などはもっとも昵懇し、一時は十日に一度ほども足繁く訪ねてきた人物だが、絶えて来なくなったし、秀次から黄金百枚を借りていた細川忠興は、そのことで関係が濃いと疑われることをおそれ、金策のために八方奔走し、ついに徳川家康から金を借り、これをもって秀次に返済した。家康はその後江戸に帰ったが、京を離れるにあたり、京都滞留のその世子秀忠に対し、「太閤・関白の間に兵戦あらば、一議なく太閤に味方せよ。太閤万一にして落命すればすみやかに大坂にくだり、北ノ政所を護衛せよ」と言い残した。
すでに世間がそこまで過熱しはじめている以上、秀次も動かざるを得ない。熊谷の意見を容れ、朝廷に三千枚の白銀を進納した。将来、成りゆきによって秀吉を斃した場合、新政権をすみやかに承認してもらう用意であった。これが、文禄四年七月三日である。即日、この密事が伏見に洩れた。

司馬遼太郎『豊臣家の人々』(角川文庫)“殺生関白”より抜粋

これに山内一豊やらの元宿老が絡み孝蔵主が絡んで、秀次は秀吉によって死に至らしめられるわけですけども、こういった政治の部分をすっ飛ばして、秀次を自殺、秀吉からの後付け謀反とし、ほぼ(爆)無理なく通説の裏をかき、源次郎(堺雅人)がたかを一旦側室にし、呂宋助左衛門(松本幸四郎)に託して海外へ逃がすというアクロバットは、三谷さんにしかできません。
一族郎党皆殺しにしても、謀反に名誉ある切腹では罪が軽すぎ、謀反の正当性(変な言葉だけども)を示すためには必要だったかと。超人材不足の豊臣家。血筋の者は一人でも多く欲しいのに、秀長(千葉哲也)が死に秀勝(堀越光貴)が死に秀保(三津谷亮)が死に………。そこへ関白という地位の人間の自殺と豊臣家の体面のための一族殲滅。秀次の罪は自殺。それ自体が秀吉にとっての“謀反”。
従五位下であったかなおぬしの位は」
「はい」
「何やら不服だとか?」
「いや、それは…殿下のお耳に間違って伝わっております!全ては私のつまらぬ見栄。無用の意地と申しますか。どうかお忘れ下さいませ」
「よもや返上したりはせぬな?」
「もちろんでございます」
「あれは私が関白として行った数少ない事のひとつじゃ」
源三郎(大泉洋)がウダウダ言ってた件がこんなところで。ありがたくてありがたくてなんて尊い(涙)。


冒頭、みんなで七つの海へなんて書いてしまいましたが、実際のところ、この時期、奴隷として売り飛ばされてる日本人が結構いる。東南アジアだけでなく、南米のブラジルやペルー、宗主国のひとつポルトガル本国とかでも日本人奴隷の記録があるそうな。その経緯はもの凄く長くなるので割愛(んなもんちょっと調べりゃわかる)。秀吉が発した“伴天連追放令”は、この日本人の海外流出防止も含んでる。当時のキリスト教は異教徒ぶち殺そうが奴隷にしようがおかまいなしで*1、ヘタしたら日本が相当早くに白人に植民地化されてた可能性もあるので、その点は秀吉がもっと評価されてもいいんじゃないかと思ったり。
今回のサブタイが“受難”だったので、キリスト教を絡めた話を書いてみました。源次郎や助左衛門の行動に水をさすようですけども(汗)。
たかは無事で生き延びてほしいな。


おこうさん(長野里美)は超ファインプレー。菊亭家の件、ほんっとにファインプレー。


きりちゃん(長澤まさみ)は秀次のこと好きだったよね。性別関係ないところでだろうけども。
しかしきりちゃんは源次郎のどこが好きなのか甚だ疑問(苦笑)。


7/24 14:35追記
今週もなんだかんだ忙しくツイを漁る時間がなかった中、たまたま見つけたひとつ。

https://twitter.com/tamamakana/status/754826981703757824
新潟から夜行バスで(お土産渡すために実家に)帰ってきた娘を見た母の第一声「新納くん綺麗に死なはったぇ」
おかえりとかどうやった?の前にそれかい笑
まぁ史上初くらいの素敵秀次様で3日前には法要で八幡まで来てくれたんだもんね。大事だ。 #真田丸

ツイ主様の母上の言葉でこの大河の秀次は救われたと思う(涙)。

*1:だいたいが『聖書』に、異教徒の売買も永遠に奴隷としてこき使うこともオッケーて書かれとる。