『八月納涼歌舞伎』第三部@歌舞伎座(18:00〜)  1F-6-33 


新古演劇十種の内 土蜘
叡山の僧智籌実は土蜘の精:橋之助/平井左衛門尉保昌:獅童源頼光七之助/巫女榊:児太郎/渡辺源次綱:国生/坂田主馬之丞公時:宗生/碓井靭負之丞貞光:宜生/卜部勘解由季武:鶴松/太刀持音若:團子/石神実は小姓四郎吾:波野哲之/番卒藤内:巳之助/番卒次郎:勘九郎/番卒太郎:猿之助/侍女胡蝶:扇雀/他
團子ちゃんの太刀持ち素晴らしかった。長袴の捌きも危なげなく。頼光(七之助)を守らんと智籌(橋之助)に対峙して結構長い時間じっとしてるとこの安定感ったら。駄馬なんかじゃないよ(怒)*1。歌舞伎初めてまだ数年だよ。それでここまで出来るんだ。これからも頑張って!。
猿之助勘九郎君、みっくんの間狂言が楽しかった。踊りの名手ふたりと、名手の血を引くみっくん。贅沢。
哲之君の石神くっそカワイイな。もうカワイイだけで出来ている。でもカワイイだけじゃなくちょっと舌足らずながら台詞はきちっと入ってた。恐るべき三歳児。


新作歌舞伎 廓噺山名屋浦里
酒井宗十郎勘九郎/花魁浦里:七之助/牛太郎の友蔵:駿河太郎留守居役田中:亀蔵留守居役秋山:彌十郎/山名屋平兵衛:扇雀/他
初夏から盛夏を経て晩夏へ。しみじみと味わうお話でした。
タモさんのブラタモエピから鶴瓶師匠が落語にして、それを観た勘九郎君が歌舞伎にしたということで、歌舞伎的なケレンとか実は実はとかの劇的さはないけれど、じわりとくるハッピーエンド。誰も恨まず恨まれず裏切らず裏切られず、誰も死なない。そんな優しい歌舞伎のひとつになったと思います。
美しく気高い吉原一の花魁、山名屋浦里(七之助)が、花魁言葉ではなく「おら」とお国訛りで語りだす身の上話。客席はしわぶきひとつなく、浦里の言葉に耳を傾ける。自然と涙がこみ上げてくる。最強方言女子。
七之助君の浦里がひたすら綺麗で、勘九郎君の酒井がくそ真面目一辺倒で、ふたりの様子が役にぴったり合ってて、それもこの演目の特徴だなあ。ふたりにしかこの空気感は出せないよ。
さすがに歌舞伎にはなってなかったけど太郎君頑張った(拍手)。
扇雀さんの平兵衛は上方言葉じゃないのに江戸味がないと思ったら、浦里と同じように地方出身者。だから最後の最後で上方言葉。配役納得。

*1:http://entamech.com/geino/post-771/ 澤瀉屋が嫌いとか途中から歌舞伎に入ってきやがってとか思ってもらって構わないけど、これは大人としてあり得ない。