NHKBS2 『龍馬伝』#33 “亀山社中の大仕事” 22:00〜22:45

録画済。


隠れキリシタンか。龍馬(福山雅治)の死後の事件なので言ってもせんないことですが、“浦上四番崩れ”を忘れてはなりません。遠藤周作『最後の殉教者』はこれを題材にしてます。お元(蒼井優)が逃げ出したくなるようなこの国を変える、と言った龍馬。一緒に国を変えた木戸孝允がこの弾圧の最終処分を決定し、その前段階では井上馨が担当者。お元にとっては裏切り以上のなにものでもなく……。そういえば“船中八策”には宗教については言及してないな。

その夜、井上、伊藤、それにまんじゅう屋の三人は、丘の上にあるグラバー新築屋敷でとめてもらうことにした。こんにちまで、グラバー邸として長崎市役所の手で保存されている洋館である。
夜陰に入って、三人は、グラバーにともなわれて大浦海岸の商館をひっそりと出た。途中、幕吏に疑われたときの用心に、まんじゅう屋は薩摩藩の提灯を三つ用意し、ふたりの長州人にももたせた。
三人の壮士、一人の英国人が、ほそい、まがりくねった坂をのぼってゆく。
(天下ひろしといえども、この四人の密計をだれも知らない)
まんじゅう屋は、血のさざめき立つような感動に襲われた。歴史が、この四人の手でかわるのである。幕軍が長州の国境に攻めてくれば、いま買いつけた四千三百梃の新式銃と三千梃のゲベール銃が火を吹き、かれらを潰滅におとし入れるであろう。
(軍事に負ければ政府は倒れる)
と、竜馬にきいたことがある。
まんじゅう屋は、ゆっくりと坂を登った。自分が、史劇のなかにいるような思いがした。
「京ではいよいよ」
と、伊藤俊輔がいった。
新選組や見廻組がたけり狂っているようですな。王城の地も、討幕の志士の地獄と化している」
「左様」
と、まんじゅう屋がうなずいた。
「土州の者もずいぶん死んだようです。しかし」
ゆれる提灯の灯を見つめながら、
「幕府はばか者ぞろいだ。京でいくら人を斬っても、変わるべき時勢はやがては変わる。それも京で変わらぬ。長崎でかわるのだ」
「長崎で?」
「左様。われわれの手で、たったいま、歴史は一変してしまった。御両所、日本にとってこの夜はわすれがたい夜になる」
まんじゅう屋は空を見あげた。星が、稲佐山の上にむらがりつつ、さかんな光茫をまたたかせている。

司馬遼太郎竜馬がゆく』4巻“怒濤篇”(文藝春秋)より抜粋

長次郎(大泉洋)の絶頂。彼の素晴らしい仕事振りは、長州藩主の毛利敬親に破格の拝謁を許され直々に謝礼の言葉を賜り、更に敬親公から薩摩への礼状に彼の名前があることから伺えます。でも……。


長州の武器購入に関しては実際は薩摩の小松帯刀が間に入ったんだけど、やはりスルー。更には、井上や長次郎が薩摩に行って、藩の重役、それこそ島津親子と会談し和解を説き、薩長同盟の成立そのものに深く関わっているはず。次回、それを描く間もなく長次郎切腹のようです。残念。