NHKBSプレミアム 『薄桜記』#6 “用心棒” 20:00〜20:45

録画済。


1950〜60年代の香りの『薄桜記』。原作がその時代なんだからあたり前なんだけども。台詞とか間合いとかね。少なくとも、70〜80年代のエンタメ色の強かった時代劇とは趣を異にしております。大人の時代劇です。ありがたいです。だから清水、もうCG使うなよ。
前回、典膳(山本耕史)が言っていた「有為転変」。
世の中のすべての現象や存在は常に移り変わるものであって、決して一定しているものではない。
と、同時に「運否天賦」でもあるなあと。
人の運不運は天命によるということです。
その天命をどう生きるか。父親が死に、借金のカタに吉原に売られたお豊(藤本泉)。彼女は苦界で生きていくしかないと覚悟を決めたのでしょう。研鑽を積み、太夫にまでなり紀伊国屋文左衛門の贔屓となる。人も羨む大栄達。ただしそれは吉原遊郭の中でのこと。世間一般では太夫といえどもたかが遊女じゃねえか、という声ももちろんあるはず。光と闇、昼と夜……世はおしなべて相対的。天命の何が正しく何が負であるのか。正が永遠に正であることはなく負もまた同様。相対の世の中では、正が増えれば負は減るわけではなく、同じボリュームで押し返す。歴史はその繰り返しです。これから起きる赤穂事件なんぞ、正負の転変たるや激しいことこのうえなく、関わるひとびとの人生もそれに連なり……。
以前、典膳が“負を引き受けることを正とした”というようなことを書きました。それがよかったのか間違っていたのかは最期の時まで、私たちにはわかりません。わからなくてもいいのだと思います。典膳自身にもわからないかもしれない。私たちは、典膳がそうしたかった、そうしなければならなかったことを見つめるのみ。彼が為したことを見届けるのみです。
新登場の白竿屋長兵衛(高嶋政伸)。こういう話に口入れ屋はつきものですな(笑)。時代劇の高嶋弟は好きです。「あげしおじゃー!あげしおじゃー!」とか「ただよしいいいい」*1とか平四郎とか。昔は弟役が多かったけど、年食ったからか(爆)最近は兄多いよね。今回の侠客好演。昔から巧かったけどこういうのもできるんだなあ。ともさかのお三もよろし。いい女優になったねえ。デビュー直後から観てるから感慨深いです。浩市っちゃんと共演率高いもんだからさ。娘だったり部下だったり妹だったり。
てか、あの膝枕変わってえええええ。後家さんとはいえあんなことあるわけないだろうとか、そんなことどうでもええわ。


いかん、「ただよしいいいい」書いたら観たくなった。のでドラマと関係ないけど貼る。ご容赦。
D

*1:これは尊氏(真田広之)の台詞だか。