録画済。
離見の見とか離間の計とか。
能は『源氏供養』でしたね*1。
そして秀次(新納慎也)から寧(鈴木京香)への『宇治十帖』。
ふたつともなんて意味深な。
「不信」は秀吉(小日向文世)→秀次ではなく、逆だったのか。
大和中納言豊臣秀保(三津谷亮)に合掌。
中納言の葬列が寂しすぎる。いや葬列とも呼べない。見送るのは秀秋(浅利陽介)ただひとり……。
♪かーごめかーごめ かーごのなーかのとーりいは いーついーつでーやある よーあけのばーんに つーるとかーめがすーべった うしろのしょうめんだーあれ♪(わかるひとにはわかる)
「こうしよう。そのほうに四つまではやる。あとの一つを秀頼にくれてやれ」といった。言いつつ、秀次の表情を注意ぶかく見た。秀吉にすればすでに跡目の相続を決定したあとであるため、いまさら言いづらくもあり、それをあれこれと気をつかい、遠慮気味に言いだしたつもりであった。が、秀次の表情は、それに応えなかった。
秀次は無言でいた。その鈍い、どちらかといえばふてぶてしくもある面つきをみていると秀吉は一人踊りをしているような自分の気のつかい方がむしろ滑稽になり、みじめになった。というより、秀吉は秀次の同情にすがろうとしている自分を知った。秀吉の心情はもう、哀願にちかい。老いて子をなしたこの老人を哀れとおもわぬか、自分はここまで悩んでいる。その気持ちを汲んでくれ、汲むならいっそ、関白を辞職し、養嗣子を辞退する、という音を一声あげよ、とひそかにそれを期待した。
が、秀次の感受性は、それに応えない。口ではなるほど返答した。
「父上様のよろしきように」
といったが、その顔つきには表情がなく、唇のはしに拗ねた色さえ溜まっている。秀吉はそう見た。むしろ曲げてでもそう見たい心境に秀吉は追いこまれていた。
(中略)
秀吉は興醒めたが、それでもなお我慢した。自分の死後、秀頼を保護してくれる者はこの秀次しかなく、その点でいえばもはや秀吉のほうこそ哀願せねばならぬ立場にあることを知っていたからである。
(中略)
秀次に女児がいる。その女児を、ゆくゆく秀頼の妻にすることであった。まだうまれて程もない嬰児の配偶者をいま決めたところでなんの現実性もないが、秀吉はそれに縋った。糸をそう結んでおけば秀次は将来、秀頼を悪いようにはすまい、と思い、急使を差し立てようとした。
「さあ、それはいかがでございましょう。おいそぎなさることはございますまい」
と側近はいった。なにしろ遠い将来のことである。側近はそういったが、しかし秀吉にすれば矢もたてもたまらなかった。わるいことにこの時期、秀次は熱海に湯治するため東へくだっており、上方にはいない。秀次には、頭痛の病がある。湯治で治そうという旅であった。
旅先で、秀次は秀吉の急使を受けた。なにごとか、と思ったが、手紙をひらくと、たかがそれだけのことである。
「承知した、と申しあげよ」
秀次は、使者にそう答えた。使者が伏見に帰り、秀吉に報告した。
「関白はそれだけ言っただけか」
秀吉は自分の気勢いだちにくらべ、相手が水のように冷静であることに、不満と不愉快さを感じた。辞職する、とまで言わずとも、たとえば秀頼成人後は天下をゆずる、と口先だけでもこの老人を安堵させ、喜ばせてくれるような一言を吐いてしかるべきではないか。司馬遼太郎『豊臣家の人々』(角川文庫)“殺生関白”より抜粋ドラマで秀次が極悪殺生関白として描かれてるのをあまりというか殆ど観たことなく、普通の気のいい青年が、天下を左右する尋常でない歴史に巻き込まれ。秀吉に疑われ自滅していく感じが多いと思う。が、司馬さんが描いた秀次はしょっぱなから結構ヒドイ(苦笑)。ここには引用してないけど、筆舌に尽くしがたいほどの酷さ。史料から色々取り混ぜてよくよく司馬さんが吟味して作り上げたとしても酷い*2。哀しみも憐みも何もない。司馬さんは秀次嫌いなんだな。隆慶一郎における秀忠みたいなもんだな。
抜粋したシーンは、今回三谷さんも全部描いてる。ただ、秀吉と秀次の心情や態度がまるっと正反対。お互いがお互いを思ってお互いによかれと思って行動してるのに、それも観てる側からすればどちらも間違ってないのに、面白いように(失礼)裏目裏目に出て、最悪の方向に進んでいく。つまるところいつもの三谷幸喜節全開で、通説と離れたとろで描くのが難しい秀吉と秀次の関係を、まるっと逆転させてあっさり描きやがって(ものすごく誉めてるつもり)。次回の秀次の“死”がどう描かれるのか楽しみでしょうがない。
「今年で拾様は3つになられた。鶴松様が亡くなられたお歳だ。太閤殿下にとって今年は不吉な年。それゆえ何事もなくこの一年をお過ごしになられたかった」
三成(山本耕史)はフォロー色々ご苦労様にございます。なんだかんだいっても秀吉のこと一番わかってんだろうなあ。
とりあえず源次郎(堺雅人)はきりちゃん(長澤まさみ)に土下座しよう。https://twitter.com/crwksQ/status/752114756438241280
そうそう、きりクラスタが源次郎井戸に投げ込めってなってるのは、きりちゃんにその気を起こさないから、ではなくて、困った時だけ頼り世話になっておきながら、常に対応が「厄介払い」だからなんだよ。側室の件も、感謝を述べた上で幼馴染としてそれを祝うという気持ちがあれば話は別なんだ #真田丸信尹叔父上(栗原英雄)が一旦退場。あの時に再登場なさるわけですね。嬉しいけど哀しいなあ。