『90ミニッツ』@名鉄ホール(18:00〜) 1F-12-17・18

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作・演出:三谷幸喜
出演:西村雅彦/近藤芳正

珍しく観る前に感想めぐりをしたんだけど、ひとの命の危機の瀬戸際でグダグダ語ってるのは許せない、三谷さんは何故この題材を選んだんだ、おかしくなったんじゃないか、と書いてるひとが結構多くてびっくり。女性、それもおばさん*1がね。あったまわるいなあ。これだから女は非論理的とか言われんのよ(爆)。おばさんたちが言う承諾書の矛盾も、ちゃんと舞台観てれば矛盾でもなんでもないことはわかるじゃん。
この話のゴールは“少年の命を救う”ことなんですよね。序盤の父親の譲れない部分を探っていく過程の議論。中盤の父親と医者の妥協点を探っていく議論。瀬戸際の命を巡る議論の密度の濃さといったらもう。終盤の医者側の“倫理”が圧倒的だと思われていたのに、徐々に父親の“倫理”が形勢を変えてゆくあの過程。そして完全に形勢逆転。何が“正しい”“正しくない”なんてひとの立場や主観で、全く逆になるんだなと改めて感じた次第。
90分の攻防の中のオーラスのたったの3秒。医者と父親とその息子の、文字通り命運を決めた3秒。それぞれ得たもの失ったものが見事に見えました。その大きさは本人達にしかわからないことですが、再び流れ始めた水を見た時、心の底からホッとしました。
うん、三谷幸喜の思うツボな舞台。やっぱすごいよな三谷さん。もちろん演者のふたりも。


余話。ひとつだけいじわるを言いますと、承諾書というのは治療の責任回避の道具でもあるのです。だから医者に言われるがまま承諾書にホイホイサインするのはやめましょう(苦笑)。

*1:私も世間的にはおばさんですが、私より上の年代の方々。