春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

時代劇への愛溢れる解釈による介錯
普段私がぐだぐだ言ってることを、具体例や実名を細かく挙げて実に気持ちよくばっさばっさと斬りまくり。『江』と『天地人』と『利家とまつ』をヤリ玉アゲアゲメッタ斬りで愉快痛快。「火野正平がいない」には唸ったわ。確かに。今だったら濱田岳君にエロを足した感じか(爆)。
春日氏の意見には概ね同意。ただ、氏が求める古き良き時代劇は構造限界に来ていると思われます。時代がもう求めてない。どんなに嘆いてもあの頃には戻れない。今の制作側で頑張ってるひとたちもいるはずなんですよ。清盛スタッフみたいに試行錯誤しまくってリキ入り過ぎたとしても(磯Pごめん)。今の、そして次世代の“新しい時代劇”は、観る側にも新しい目線が必要なのかもしれません。
本書に書かれてることって、時代劇だけじゃなく、現代ドラマにも言えることでしょうね。


氏が引用されてたので更に引用失礼。

面白い時代劇を書くコツは、「時代考証に負けるな」という事。ただ歴史的事実が知りたいのなら、国会図書館のデータベースにでもアクセスすればいい。資料を読み込む力は必要だが、その資料からどれだけ想像力をはばたかせる事が出来るかどうか。時代劇はエンターテイメントなのだ。

小池一夫(ご本人のツイッターより)

ゼロではない可能性の中で、これアリかもと思わせることに長けた最たるひとは司馬遼太郎だと思います。でも彼の壮大な想像力でできあがった作品を映像化するのは至難の業だと思います(苦笑)。マイルド版が三谷さんかな。春日氏の『真田丸』の感想訊いてみたいな。


余話。愛之助さんの名前が出てきて吃驚。斎藤光正監督に歌舞伎の癖を徹底的に直されてたとのこと。ドラマ名書いてなかったけど『夜桜お染』だな。この癖の件で、海老蔵猿之助一刀両断(汗)。