『嵐が丘』@日生劇場(17:00〜) 1F-B-8

f:id:moonblue:20220206040332j:plain
原作:エミリー・ブロンテ/脚本・演出:G2
出演:堀北真希山本耕史高橋和也/伊礼彼方/矢崎広小林勝也ソニン戸田恵子陰山泰小林大介近野成美/他

マチネが一番前のセンターに近くて、ソワレは程よいB列下手。贅沢だと思いつつ逆の方が良かったなと。だって、どしょっぱつで1列目ほぼセンターて、ヒースクリフしか観ないに決まってんじゃん(爆)。
登場シーンは少年期からだと思い込んでたから、いきなりの青年というか中年というか(失礼)大人ヒースで私的ジワ。退廃的で厭世的なのに異様に鋭い目。大好物でございます。このシーン好きだなあ。ヒースクリフが椅子に座ってあれこれヘアトン(矢崎広)を責めるでしょう?。椅子の位置が私の席のほぼ真正面で、美しい氷の刃のような目線が右に左に移るのを、まじまじと間近で眺められる至福の時×2回。耕史君はコスチューム・プレイ*1になると、洋モノでも和モノでも壮絶な二次元的美形になるから不思議。いや素も美形ですけどもあくまでも三次元*2。年齢も自由自在。中年ヒースの後の少年ヒースが違和感ないもんね。近くで見てもちゃんと少年。目が全然違う。まだきらきらしててね。でもキャサリン堀北真希)とネリー(戸田恵子)の会話を聞いてる時に、変わってくのよね。あそこも表情の変化が微に入り細に入りで繊細で素晴らしくて。こういうとこ耕史君の真骨頂ですよ。そしてパリッとしたぶっちぎり美青年ヒース。そらイザベラ(ソニン)も堕ちるわな(笑)。ロングコートは翻りフェチには堪りません。歩きながらぶぁさっとコート着て、髪を襟から出すとこね。結んだ髪の扱いは慣れてるよねと思ったり(苦笑)。翻らないけど、コート効果(何それ)で好きなとこが。キャサリンの寝室で、コートのままブーツのままベッドに膝をついて上がるとこで、コートの裾がベッドの端で少し垂れるとこ。あれが何とも禁欲的で。わかるひとにはわかる。で、やっぱ私は中年ヒースが好き。本当に欲しいものが手に入らない欠如感に満ち満ちた負のエネルギーを纏う典型的Byronic Hero、からの更なる絶望と敗北。若い力に、新しい運命に抗えず衰え自滅してゆく。美しく力強かった男が、美学も何にもなく滅びてゆく姿にわきわきですよもう。
耕史君の演技に関することって毎回同じようなことになっちゃうけど、とにかく無駄がない。必要なことはすべてやり、不要なことは一切しない。彼の表現したものが確実に真っ直ぐに観客に届く。感情の起伏の激しい役はともするとやりすぎ感出るのにね、そういうの無いのよ。
怒りや凄みの中に常に見えた、哀しみと苦しみ。原作うろ覚えなので何ですけど、耕史君のヒースクリフにはそんな部分を強く感じました。
あー映像化してほしいなあ。

*1:何度も書くけど、演劇用語で時代劇・歴史劇のこと。アニメなんかのコスプレとは別物。

*2:あ、お肌は二次元。